千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震への初動対応は、4日発足した岸田内閣にとって初めての危機管理対応となった。岸田首相は7日夜から8日未明にかけて約2時間、首相官邸で陣頭指揮を執り、「万全の対応」を強調した。
地震発生から約10分後の7日午後10時52分、首相は自身のツイッターで「命を守る行動を取ってください」と呼びかけた。午後11時14分には、「官邸に入ります」と投稿した。
首相はこの日、午後8時頃に東京・赤坂の衆院議員宿舎に帰宅していた。「官邸入り」は、車で宿舎から官邸に向かう途中で投稿したようだ。
投稿の2分後に首相は官邸に到着し、記者団に対し、被害状況の把握などを関係省庁に指示したことを説明。8日午前1時25分の退邸時も記者団の前で足を止め、政府の対応状況を説明した。発言を終えると、「いいかな」と、追加質問がないことを確認してから帰路についた。
菅前首相は、新型コロナウイルス対策などを巡って「説明不足だ」との批判を受け、支持率を低下させた。岸田首相はそうした経緯を踏まえ、丁寧に説明する姿勢を示したとみられる。
特に、大地震や広域的な大災害の発生時、首相官邸は関係省庁や地方自治体による災害対応の司令塔となる。対応を誤れば政権の失速も招きかねず、歴代内閣は細心の注意を払ってきた。
7日の地震発生直後も、松野官房長官と二之湯防災相らが首相官邸に入り、鉄道の運休が相次いだことによる帰宅困難者への対応などに当たった。自民党の世耕弘成参院幹事長は8日の記者会見で、「迅速に首相が官邸に駆けつけた。内閣発足直後というタイミングだったが、きちんと対応したことを高く評価したい」と持ち上げた。