「震度5以上」震源から30~40キロ離れた足立区や川口市に集中…軟弱地盤、揺れ増幅

7日夜に首都圏を襲った最大震度5強の地震は、地球の表面を覆う十数枚の「プレート」と呼ばれる岩板のうち、3枚が複雑に重なり合う関東直下で起きた。
気象庁は、地中に沈み込むフィリピン海プレートと、その下の太平洋プレートとの境界で起きたとみている。1923年の関東大震災もプレート境界がずれ動いた地震だったが、震源は地表に近い2枚(北米プレート、フィリピン海プレート)の境界だった。
関東大震災クラスのマグニチュード(M)8級より規模が小さいが、首都圏に甚大な被害をもたらすM7級想定の「首都直下地震」との関係についても、同庁は「政府が想定する首都直下地震よりも震源が深く、規模も小さい」と説明した。
政府は首都直下地震として、震源ごとに19パターンを想定。千葉市付近の場合はM7・3、深さ約30~60キロ・メートルとしている。今回はM5・9、深さ75キロだった。
一方、今回の地震で特徴的だったのは、震度5以上を観測したのが震源周辺ではなく、30~40キロ離れた東京都足立区や埼玉県川口市などに集中したことだ。
産業技術総合研究所によると、この地域には約2万年前、川に削られてできた幅数キロの谷があったといい、地下には厚さ約30~50メートルの泥層が広がる。こうした軟弱な地盤が厚さ30メートル以上になると揺れが増し、液状化リスクも高くなるという。
同研究所の中沢努・情報地質研究グループ長(地質学)は「地盤の弱さと震度が一致した地域が多かったが、軟弱とされる都内沿岸部では大部分が震度4にとどまった。より深い地盤も震度に影響を与えている可能性がある」と指摘する。