《横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)で平成28年、高齢の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し中毒死させたとして殺人罪などに問われた元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)の裁判員裁判第5回公判は、昼の休廷を挟んで午後1時15分、被告人質問が再開した》
《一礼をして証言台に座った久保木被告。午前中に引き続き裁判長が「聞き取りやすいよう意識して答えてください」と声をかけると、久保木被告は小さくうなずいた。続いて弁護人が、2人目の被害者、西川惣蔵(そうぞう)さん=当時(88)=の点滴に消毒液「ヂアミトール」を混入させたときの行動を確認していく》
弁護人「(最初の被害者である)興津(朝江)さんが亡くなったと知って(犯行を)やめようとは思わなかったのか」
久保木被告「思いませんでした。(西川さんの)状態がよくないと思いました。私がいる間に亡くなると思い、不安でたまりませんでした」
《自分の勤務時に患者が亡くなった場合、家族に説明しなければならなくなるのを恐れていたと語る久保木被告。弁護人は、被告が西川さんの点滴にヂアミトールを混入させた際について質問を重ねる》
弁護人「西川さんに声はかけたか」
久保木被告「血圧測りますね、といったと思います」
弁護人「西川さんのベッドの乱れを直している。なぜか」
久保木被告「西川さんが不快だろうと思ったからです」
弁護人「そうした気持ちがありながら、なぜヂアミトールを入れたのか」
久保木被告「説明できません…」
《久保木被告の犯行は、3人目の被害者である八巻信雄さん=同(88)=の点滴袋が泡立っていたことに看護師が気づいたことから露見した。混入は、ほかの患者に投与予定だった5つの点滴袋からも確認されているが、この点について質問が及んだ》
弁護人「八巻さんも含めて、いくつぐらいの袋に(ヂアミトールを)入れたのか」
久保木被告「記憶では10個です。(見つかったのが5つと知って)驚きました」
弁護人「特定の誰かの点滴を狙ったのか」
久保木被告「いいえ」
《こう答えた久保木被告だが、それだと自分の勤務の最中にヂアミトール入りの点滴が患者に投与される可能性もあったことになる》
弁護人「(勤務中に患者が亡くなるのを避けたかったという)元々の動機と合ってない。どうしてか説明できるか」
久保木被告「分かりません」
弁護人「いっぺんに(ヂアミトール入りの点滴が使われて)10人もの患者が亡くなったら、大変なことになると思わなかったのか」
久保木被告「いいえ」
弁護人「病院を困らせてやろうと思ったのか」
久保木被告「いいえ」
弁護人「仕事を終えて家に着いて、何か考えたか」
久保木被告「いいえ」
《矢継ぎ早の質問に対し、久保木被告は否定を繰り返す》
《平成28年9月21日、休日明けで旧大口病院にやってきた久保木被告は、前日の20日に点滴の異常が見つかり、神奈川県警が捜査を開始したことを知る》
弁護人「(警察が来たことで)ヂアミトールを入れることについて、考え方に変化はあったか」
久保木被告「悪いことだったのかな、と思いました」
《ここで裁判長が再び休廷を告げた》