バス停の4人はねた71歳男、50m手前から歩道走行…乗り上げたこと気づかず運転か

横浜市戸塚区で25日午後、バス停に並んでいた男女4人がワンボックス車にはねられ死傷した事故で、車が50メートル近く手前から歩道上を走行していたことが、捜査関係者への取材で分かった。制限速度以下で走っていたとみられ、急ブレーキをかけた痕跡もないことから、県警は会社員の男(71)が歩道に乗り上げたことにも気づかないまま、漫然と運転していた可能性があるとみて調べている。
神奈川県警戸塚署幹部によると、男は東京都大田区の内装工事業者に勤務し、事故当時は鎌倉市内での仕事に向かう途中だった。
事故現場は片側1車線の緩やかな右カーブを抜けた直後の直線区間で制限速度は時速40キロ。バス停は道路沿いのコンビニ店の前にあり、店の敷地とつながる形で歩道の幅が広くなっている。県警は、男の車が、現場手前の信号が青に変わって発進した直後、車道との段差がほとんどない部分から歩道に乗り上げ、そのまま歩道を進んで4人をはねたとみている。
車はバス停の先の電柱にぶつかって止まったが、急加速や急ブレーキの痕跡はなかった。県警は来週にも男を現場に立ち会わせて実況見分を行う。
遺族「二度と運転しないで」

事故では、横浜市泉区のパート従業員渋谷幸恵さん(56)、戸塚区の医療事務員大沢弥生さん(45)の女性2人が犠牲になった。
「母ちゃんの全部が好きだった。まだ信じられない」。渋谷さんの夫・貴寛さん(59)は事故から一夜明けた26日、取材に応じ、胸の内を明かした。
幸恵さんとは若くして出会い、一目ぼれだったという貴寛さんがプロポーズした。40年近く連れ添い、3人の子供も授かった仲良し夫婦だったという。
25日の朝、幸恵さんの出勤前に一緒にゴミ出しをしたとき、「今日は風がなくていいね」と話したのが対面での最後の会話だった。貴寛さんは事故直後、救急隊からの連絡でタクシーに飛び乗ったが、最期の瞬間には間に合わなかった。「起きろ」と声をかけても返事はなく、涙があふれた。
貴寛さんは、車を運転していた男に対し、「二度と運転はしないでほしい」と訴えた。
医療事務の仕事をしていた大沢さんの知人にも悲しみが広がった。近所に住む女性は「楽しそうにお子さんと一緒に歩いていたのを覚えている。ただバスを待っていただけなのに、こんなことになるなんて」とショックを受けていた。
現場のバス停には26日、市民らが訪れ、花や飲み物を供え、手を合わせていた。