政府は2日午前、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、国土交通省が国内外の航空会社に要請していた日本着の国際線の新規予約停止を取りやめたと発表した。要請を巡っては年末年始にかけて帰国しようとしていた海外在住の日本人らが反発していた。
発表に先立ち、岸田首相は2日午前、要請が「混乱を招いてしまった」と認めた上で、日本人の帰国に配慮するよう国交省に指示したことを首相官邸で記者団に明らかにした。
松野官房長官はその後の記者会見で、「要請は緊急避難的対応として、予防的観点から講じられたが、これ(首相の指示)を受け、取りやめた」と説明した。
国交省は、政府が水際強化策として日本人帰国者を含めた1日の入国者数の上限を5000人から3500人程度に絞り込んだことを受け、11月29日付で国内外の航空会社に12月末までの1か月、新規予約を停止するよう要請した。
このため、全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)や日本航空は12月1日から、それぞれ新規予約を停止していた。
一方、政府は、韓国、スイス、カナダの一部(アルバータ州、ケベック州、ブリティッシュ・コロンビア州)、インド洋の仏領レユニオン島の4か国・地域からの帰国者らを政府の指定施設で待機する「停留」措置の対象に追加する。
待機期間は韓国が6日間で、他の3か国・地域は3日間。また、既に3日間の待機措置をとっているオーストラリア、スウェーデン、ドイツ、ポルトガルからの帰国者らも、期間を6日間に延長する。
これらの措置は3日午前0時から開始する。オミクロン株を理由とした停留は31か国・地域となる。