わずか1か月半の間に、兵庫県内のコンビニエンスストアが相次いで3件の特殊詐欺被害を防ぎ、兵庫県警伊丹署から感謝状を贈られた。
秘訣
(ひけつ) は、普段から心掛けている客とのコミュニケーション。今回も何げない雑談を通じ、電子マネーを購入しようとした高齢者たちの気持ちを店員がほぐすなどしており、署は「これほど短期間に続けて詐欺を防いでくれるとは」とたたえた。(礒永博)
この店は伊丹市内のファミリーマート。発表などでは8月31日と9月6日、10月14日に来店した別々の高齢男性を救った。
いずれも電子マネーの購入を望んだが、初めてなのか不慣れな様子だった。
店員らは雑談をしながら理由を確認。「1億円が当選し、受け取りには手数料が必要とショートメールが届いた」「パソコン画面にウイルス感染と表示され、駆除に8万円かかると言われた」――などと説明を受け、詐欺と直感した。
この店では店長の女性(52)も率先して、主に若者向けの商品を高齢者が買おうとする際は「お孫さんに頼まれましたか」などとそれとなく理由を聞いているという。今回の3件も、そうした普段の意識付けが功を奏したという。
署によると、コンビニが被害防止の「
砦
(とりで) 」となることは多いが、何度も続くのは異例という。野口岳志署長は「皆さんが防犯力を積み重ねた成果。とても心強い」と感謝した。
小さなことも店長に一声…「還付金」関西スーパー阻止
伊丹署管内で今年起きた特殊詐欺は9月末現在で35件で、被害総額は約4000万円。前年同期比で11件、3870万円減った。
署は「被害根絶へ全力を挙げる。地域の皆さんの協力も欠かせない」としており、「還付金詐欺」の被害を防いだ関西スーパーの店長(45)にも感謝状を贈った。
発表では7月15日、携帯電話で通話しながら店内のATM(現金自動預け払い機)を操作する高齢女性を別の買い物客が見かけ、店員を経由して連絡を受けた店長が駆けつけた。
女性は、言葉巧みな誘導で現金を振り込ませる「還付金詐欺」の被害に遭いかけており、初めは取りつく島もなかったが、粘り強い説得の末に振り込みを思いとどまらせた。
店では客の安心、安全のため、小さなことでも店長や副店長に一声かけるよう徹底しているという。