救急隊員ら大声飛び交う現場「大丈夫か」 大阪・北新地ビル火災

「大丈夫か、大丈夫か」-。救助活動にあたる消防隊員の呼びかけが白昼の繁華街に響いた。17日午前に発生した大阪市北区曽根崎新地のビル火災。火がほぼ消し止められるまでわずか30分ほどだったとみられるが、あっという間に煙が充満し、20人以上が命を落とした。近隣住民からは「一瞬の出来事。こんなことになるなんて」と悲痛な声が上がった。
ビルから火の手が上がったのは午前10時20分ごろ。「火事だ!」。隣の喫茶店にいた50代男性は、ほかの男性から声をかけられ気づいた。すぐに外に出てビルの様子を確認すると、4階部分が真っ赤に燃えていたという。男性は「4階部分だけが燃え、屋上からは煙がもくもくと上がっていた」と話す。
目撃者らによると、煙はすぐに辺りに充満。救助に駆け付けた消防隊員らが、次々とストレッチャーに人を乗せて運び出していった。中には、シートがかぶせられたストレッチャーもあった。消防隊員は大声で呼びかけながら、運び出されてきた人に心臓マッサージなどを施していた。
ビル6階の窓から身を乗り出し、助けを求める女性の姿もあった。消防隊員がはしご車で向かったものの、当初はなかなかはしごが届かず、救助が難航したという。「助かるんだろうかと、不安な様子が遠くから見ても伝わってきた」。近くのビルで働く会社員男性(47)はこう振り返る。
消防隊員は女性をはしごに乗せて地上に降ろしたが、女性は荒い息をしていて、ビルに放出した水がかかり、びしょぬれだった。女性は気が気でない様子で、「大丈夫か、大丈夫か」と励ます隊員にしがみつき震えていたという。
まもなく、ビルの中にいた人たちが20人ほど、口元にハンカチやタオルなどを当てながら、歩いて出てきた。このうち、若い女性は道端で号泣しながら、携帯電話で「もう逃げたから、大丈夫だから」と話していたという。
向かいのビルに勤務する会社員、平田唯さん(31)は「炎が出ているのが見えた。燃えている場所の上階のテナントから人がはしご車で助けられていた。ぐったりしている様子だった」と話した。
火災現場の隣のビルで働く女性(64)は「スタッフが火事だと知らせてきて、みんなで一斉に逃げた。焦げ臭いにおいはあったが、まさかここまでの大ごとになるとは思わなかった。現場のビルには普段あいさつする人もいたので、無事を願いたい」と不安そうだった。
午後5時過ぎ、火は完全に消し止められたが、その後も現場付近には規制線がはられ、出火原因などを調べる捜査員らの姿が見られた。仕事帰りのサラリーマンらがスマートフォンで現場の様子を撮影したり、規制線の前に立つ警察官に「何があったのですか」と尋ねたりする人もいた。