1月1日、皇居・宮殿で「新年祝賀の儀」が行われ、天皇皇后両陛下は皇族方や三権の長、各国大使らから祝いの言葉を受けられた。
公務デビューで堂々とした振る舞いをなさった愛子さま
この日、両陛下の長女・愛子さまは、初めての公務として新年祝賀の儀に参列された。宮殿「松の間」に入られる際、愛子さまは皇后雅子さまに続いて歩を進められた。すっと背筋を伸ばされ、真剣かつ引き締まった表情をなさっていた。成年行事と同じく、上質なシルクで仕立てられた潔いホワイトのローブ・デコルテ姿は若々しく、とてもお綺麗だった。愛子さまは公務デビューながら、動じずに堂々とした振る舞いをなさっていて、両陛下のご長女としての風格を示された。
昨年、愛子さまは初公務に先立って、大正天皇の命日にあたる12月25日に皇居・宮中三殿での宮中祭祀に初めて臨まれた。オフホワイトのロングコートと同じ色の帽子をお召しになっていたという。雅子さまは御所でご遙拝、お慎みになり、12月28日に収録されたという「新年ビデオメッセージ」へのご準備に注力なさっていたのかもしれない。新型コロナウイルス感染症で亡くなった人々への哀悼の意を示され、感染拡大を憂慮し、国民をねぎらわれた天皇陛下のおことばに続いて、雅子さまは年末からの寒波にまつわる気遣いのおことばを述べられた。
「昨年も、多くの方にとって御苦労の多い年だったのではないかと思います。また、年の暮れからの寒波で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように。今年が、皆様にとって少しでも穏やかで、実り豊かな年となりますよう、心からお祈りしております」
沿道から「愛子さま~」とため息が
1月1日午後、両陛下と愛子さまはお揃いで、皇居・乾門を出発された。上皇ご夫妻に新年のあいさつをするため、お住まいの仙洞仮御所へ向かわれたのだ。それに先立ち、秋篠宮さまら皇族方は時間をずらしながら仙洞仮御所を訪れられていた。佳子さまをはじめとする女性皇族方はローブ・デコルテ姿で、新年祝賀の儀を終えられた後、そのままお出ましになったのではないだろうか。
15時30分頃、仙洞仮御所へ両陛下と愛子さまの車両が近づいてくる頃には、多くの人々が沿道に集まっていた。ついに両陛下と愛子さまが通過されると、沿道からは「愛子さま~」とため息がこぼれるほど、多くの人々が成年を迎えられた愛子さまのお姿を一目見たい様子だった。12月5日に披露されたローブ・デコルテと黒田清子さんから借用されたティアラをお召しになったお姿から、ご立派な成年皇族となられたと感慨深く思った人が多かったのだろう。
1台の車両に3人で乗り込まれた両陛下と愛子さまは、新年にふさわしいとてもいい笑顔を浮かべられていた。儀式の時とは一転し、ご両親の間に座られた愛子さまは徐々にリラックスされ、柔和な笑みを浮かべて沿道の人々に手を振られていた。雅子さまと愛子さまはお召し替えをされて、お揃いのようにも見えるが、微妙に色合いの異なるアイボリーのお召し物を選ばれていた。
愛子さまの装いからは、特に帽子にこだわりが感じられた。コサージュのような薄いピンクのフラワーモチーフがアクセントになっている。新年に愛子さまが選ばれたこのお帽子を拝見して、愛子さまがお好きであるガーリーなテイストを取り入れられたのではないかと思った。
可憐なフラワーモチーフがお好きな愛子さま
学習院女子高等科の頃は、「ラデュレ」の猫柄ビニールトートバッグをお持ちになって通学されていたことがあったが、淡いグレー地で、手鏡の中に黒猫が、その周囲に可憐なフラワーモチーフがプリントされた可愛らしいデザインだった。また、ポップな花柄が人気のイギリスのブランド「キャスキッドソン」もお気に召されたようで、「高校野球秋季大会」で学習院高等科と駿台学園高校の試合を観戦された際に、このショルダーバッグをお持ちになっていたことがある。
現代の皇室へと伝わっていった明治宮廷の伝統、特に女性皇族の衣装の変遷について記された三笠宮家の彬子さまの論文「明治宮廷の華―女性皇族の衣装の変遷と三笠宮妃殿下の昔語り―」(『明治150年記念 華ひらく皇室文化-明治宮廷を彩る技と美-』青幻舎、2018年)には、新年の祝賀行事が「一番重い」とあり、戦後は「ローブ・デコルテが第一礼装、ローブ・モンタントが第二礼装(昼の正装)となり、平成の皇室へと伝わる枠組みが形成されていく。新年の祝賀や晩餐会などは、ローブ・デコルテ、天長節、地久節、講書始、歌会始などはローブ・モンタントと、礼装の階級がひとつずつ格上げされることとなった」という。
天皇ご一家は、16時すぎには仙洞仮御所からお帰りになった。愛子さまの晴れ晴れしたご表情は、第一礼装をお召しになる公務をやり遂げられた達成感からだったのだろうか。雅子さまの嬉しそうなご表情も忘れがたい。愛子さまが初公務を無事終えられ、陛下も雅子さまも、深く安堵しておられるのではないだろうか。
(佐藤 あさ子/文藝春秋)