茨城県境町若林の民家で会社員の小林光則さん(48)と妻の美和さん(50)が殺害され、長男(13)と次女(11)が重軽傷を負った事件で、複数の近隣住民が異口同音に明かすのは「大きな犯罪はないが泥棒は多い」(付近の男性)という土地柄だ。侵入窃盗被害の頻発を受け、町が周辺の道路に複数の防犯カメラを設置した矢先だった。殺傷事件に解決の糸口が見えない中、以前からくすぶっていた住民の不安感の増幅を招いている。
「私も、自宅で就寝中に財布を持っていかれた経験がある…」
こう苦い表情を浮かべるのは、小林さん方の近くに住む男性(86)だ。
近くの会社に勤める別の男性も「4年くらい前に、畑に置きっぱなしのトラクターなどの盗難が多発した。それを受けて町が防犯カメラを設置するようになった」。周辺を車でよく通るという古河市の男性(72)は「境町は侵入盗が多いらしい。私の知人も『就寝中に何者かに押し入られ、気づいたら襲われてしまうから寝たふりをしていた』と話していた」と明かす。
こうした状況に不安を感じる住民は少なくなかった。町による防犯カメラ設置などの対応に加え、最近では、住民組織が自ら空き巣への注意を呼びかけるなどの動きもあった。
そもそも、茨城県は住宅侵入窃盗事件の発生率が高い傾向がある。1~8月の人口10万人あたりの認知件数は32・7件(全国平均14・8件)で、全国ワーストを記録した。境町が公表しているデータによると、1~7月に町内で起きた侵入盗は9件で、無施錠の浴室の窓から忍び込んだケースなどが確認されている。
今回の殺傷事件でも、何者かが無施錠の箇所から屋内に入り家族を襲った可能性が有力視されている。種部滋康(たねべ・しげやす)県警本部長は25日の定例記者会見で「大きな被害を出した本当に痛ましい事件だ。地域の人も不安に思っていると認識している。被疑者の早期検挙に向けて強力に捜査を推進する」と強調した。(永井大輔)