【独自】大麻密売人を組員が襲撃…通報できない弱みにつけこみ強奪、転売

福岡県警が強盗致傷容疑で逮捕した指定暴力団道仁会(本部・福岡県久留米市)系組員ら3人が昨年3~4月、福岡、熊本、宮崎の3県で、密売人を襲撃して大麻を奪う事件を10件近く繰り返していた疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。組員らは奪った大麻を転売し、少なくとも数十万円を得ていたという。「密売人は警察へ被害届を出そうとしないことに目を付けた」などと狙った理由を供述している。
3人起訴、犯行10件か

強盗致傷容疑で逮捕、起訴されたのは、いずれも道仁会系組員の浅川拓斗(21)(熊本県宇土市)、中村龍弥(23)(住居不詳)両被告と、両被告の知人、江口

龍楓
(たつま)被告(22)(熊本県宇土市)の3人。
捜査関係者や起訴状によると、3人は昨年4月11日午前0時頃、福岡県宗像市のディスカウント店駐車場で、SNSで呼び出した密売人の男を金属バットなどで暴行し、大麻や約2万円入りの財布などを奪った。さらに同日午前1時40分頃、福岡市南区の路上でも別の密売人の男に警棒などで暴行を加え、大麻を奪ったとされる。
3人はツイッターで、大麻を表す「ヤサイ」「クサ」などの隠語を使って密売を持ちかける投稿を検索し、手渡しで売買する密売人を選んで狙っていたとみられる。いずれも容疑を認めており、「密売人は警察に通報すれば密売がばれてしまうため、襲っても大丈夫だと思った」と話しているという。
3人は「他にも何件かやった」と供述している。福岡、熊本、宮崎の3県では昨年3~4月、密売人約10人が襲われ、大麻を奪われる事件が10件近く発生しており、福岡県警は3人が関与したとみて調べている。
一方、福岡県警は宗像市で大麻を奪われた男を大麻取締法違反(所持)の疑いで福岡地検に書類送検し、福岡市南区の事件でも、暴行を受けた男から任意で事情を聞いている。2人は「相手が暴力団組員とは知らなかった。突然暴行されたが、大麻を売ろうとしていたため、警察に被害を届け出られなかった」と話しているという。
若者が密売、増加傾向…組員の割合減る

大麻事件を巡っては、摘発者のうち暴力団関係者が占める割合が低下する一方で、暴力団組員ではない若者らが売り手になるケースが目立っている。
警察庁によると、2020年に警察に摘発された人数は5034人。4年連続で過去最多を更新したが、暴力団関係者が占める割合は減少しており、11年の37・3%から14・9%に減った。
大麻は国内に自生し、インターネットで栽培法が紹介されるなどしているために、栽培や密売に安易に手を染める若者が増えており、捜査関係者は、逮捕した浅川被告らがこうした傾向にも着目したとみている。
福岡県警のある捜査幹部は「暴力団組員に密売人が狙われる事件は、これから増える可能性がある」と警戒を強めている。