東大刺傷、殺人未遂で逮捕された「17歳」は起訴されるのか? 少年事件の手続の流れ

大学入学共通テスト初日の1月15日朝、東京大学(東京都文京区)近くで受験生ら3人が刺されて、名古屋市の高校2年の少年(17)が殺人未遂の疑いで逮捕された。 報道によると、この少年は犯行前、東京メトロ車内や東大前駅構内で放火も図っていたという。今回の事件のように、犯行時に17歳だった場合、どのような手続きをたどることになるのだろうか。 ●殺人未遂で「逆送」となるのは「かなり例外的なケース」 14~19歳の少年が警察に逮捕された場合、捜査段階では成人と同じく、警察で取り調べを受ける。だが、原則として、捜査機関から家庭裁判所に送致され、少年審判にすすむ。 家庭裁判所による少年審判が開かれる場合は、原則非公開だ。 少年鑑別所による鑑別結果や、家庭環境等の調査結果、付添人による意見などを踏まえ、(1)処分しない、(2)児童相談所などへ送致する、(3)保護観察や少年院送致などの保護処分とする、(4)検察官へ送致する(逆送)――といった決定をおこなう。 今回の事件では、少年は殺人未遂の疑いで逮捕された。澤井康生弁護士は今後の流れとして、「家庭裁判所において少年審判が開かれることになるが、おそらく保護処分決定で少年院送致になると思う」と語る。 「今回の事件は、17歳の少年が3件の殺人未遂を犯した重大事件です。そのため、検察官送致(逆送)となり、通常の成人と同様の刑事事件として裁かれるか否かが問題となります。 少年法の規定では16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件(殺人既遂)の場合は原則、逆送とされています(同法20条2項)。しかし、今回は殺人未遂であって殺人既遂ではないことから、原則に該当しません。 そこで、家庭裁判所は、一切の事情を斟酌(しんしゃく)して、その裁量により、刑事処分相当か否かを判断することになります(同法20条1項)」 もし逆送となった場合、少年は原則として起訴される。この場合、その後の刑事手続きは、基本的に成人と同じ流れをたどることになる。 澤井弁護士が逆送ではなく、少年院送致となる可能性があるとみている理由は、逆送となる割合が低いためでもある。 「最高裁判所が公開している司法統計によれば、少年事件において逆送となる割合はもともと全体の2.6%程度しかなく、かなり例外的なケースであることがわかります。ちなみに保護処分となるのは全体の22.2%もあります(2019年度データ)。
大学入学共通テスト初日の1月15日朝、東京大学(東京都文京区)近くで受験生ら3人が刺されて、名古屋市の高校2年の少年(17)が殺人未遂の疑いで逮捕された。
報道によると、この少年は犯行前、東京メトロ車内や東大前駅構内で放火も図っていたという。今回の事件のように、犯行時に17歳だった場合、どのような手続きをたどることになるのだろうか。
14~19歳の少年が警察に逮捕された場合、捜査段階では成人と同じく、警察で取り調べを受ける。だが、原則として、捜査機関から家庭裁判所に送致され、少年審判にすすむ。
家庭裁判所による少年審判が開かれる場合は、原則非公開だ。
少年鑑別所による鑑別結果や、家庭環境等の調査結果、付添人による意見などを踏まえ、(1)処分しない、(2)児童相談所などへ送致する、(3)保護観察や少年院送致などの保護処分とする、(4)検察官へ送致する(逆送)――といった決定をおこなう。
今回の事件では、少年は殺人未遂の疑いで逮捕された。澤井康生弁護士は今後の流れとして、「家庭裁判所において少年審判が開かれることになるが、おそらく保護処分決定で少年院送致になると思う」と語る。
「今回の事件は、17歳の少年が3件の殺人未遂を犯した重大事件です。そのため、検察官送致(逆送)となり、通常の成人と同様の刑事事件として裁かれるか否かが問題となります。
少年法の規定では16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件(殺人既遂)の場合は原則、逆送とされています(同法20条2項)。しかし、今回は殺人未遂であって殺人既遂ではないことから、原則に該当しません。
そこで、家庭裁判所は、一切の事情を斟酌(しんしゃく)して、その裁量により、刑事処分相当か否かを判断することになります(同法20条1項)」
もし逆送となった場合、少年は原則として起訴される。この場合、その後の刑事手続きは、基本的に成人と同じ流れをたどることになる。

澤井弁護士が逆送ではなく、少年院送致となる可能性があるとみている理由は、逆送となる割合が低いためでもある。
「最高裁判所が公開している司法統計によれば、少年事件において逆送となる割合はもともと全体の2.6%程度しかなく、かなり例外的なケースであることがわかります。ちなみに保護処分となるのは全体の22.2%もあります(2019年度データ)。