大阪市東住吉区で1995年に小6女児(当時11歳)が焼死した火災で殺人罪などに問われ、再審無罪になった母親の青木恵子さん(57)が国と大阪府に計約1億4500万円の損害賠償を求めた訴訟で、国は大阪地裁に和解勧告に応じない意向を表明した。青木さんの代理人弁護士が21日明らかにした。和解協議は決裂したため、3月15日に判決が言い渡される予定。
地裁は2021年11月、国と府に和解金の支払いや再発防止を求める内容の和解案を提示した。青木さん側は応じる意向を示したが、国側は和解協議に出席しない状況が続いていた。代理人によると、地裁はこの日、国側の意向を踏まえて協議を打ち切った。府は態度を保留していた。
和解協議の決裂を受け、青木さんは「和解に応じないのは裁判所をばかにしている。国は冤罪(えんざい)をなくす気持ちがなく、冤罪をまだつくるという宣言だ」とコメントを発表した。
青木さんは保険金目的で自宅に放火したなどとして06年に殺人罪などで無期懲役が確定。16年8月に大阪地裁の再審で無罪になった。同年12月、違法な捜査で約20年間拘束されたとして提訴した。【芝村侑美】