大分市で水道管損傷相次ぎ、道路が冠水…宮崎・延岡では340世帯断水

「ガーンと下から突き上げられた後、横に揺られた」。大分、宮崎県などを22日未明、最大震度5強の揺れが襲った。各地で転倒などによる負傷者が相次いだほか、水道管の損傷による冠水も発生した。未明の強い地震に驚いた住民らは避難に追われ、余震への不安を抱えながら夜明けを待った。
震度5強を観測した大分市中心部では突然、3車線の道路のマンホールから水があふれ、一帯は深さ約10センチまで浸水した。車がマンホールのある車線を通らないよう警察官が交通整理にあたっていた。水は明け方までにはおおむね引いたが、近くのコンビニ店のアルバイト男性(32)は「ニュースで、店の近くで水があふれたと知って驚いた。朝に出勤してもまだ残っていた。次の揺れの可能性があるので冷静に対応したい」と話した。
市によると、市内では22日午前10時現在、水道管損傷が計8件確認され、道路が冠水し、県道などは一時全面通行止めとなった。市内の県道では、中央分離帯にあった街灯が倒れ、片側2車線の1車線を塞いだ。
同市勢家町の春日神社では石灯籠1基が崩れたほか、同市庄境の民家では木造の門が倒壊し、業者らが朝から門を解体し、撤去作業にあたっていた。
同じく震度5強となった大分県佐伯市は、市内21か所に避難所が設置され、最大で111人が身を寄せた。市役所6階の大会議室や議会委員会室も開放され、約70人が不安な夜を過ごした。
近くの主婦(28)は夫と1歳の息子と避難した。下から突き上げられた後、大きな横揺れを感じたといい、「ガーンと突き上げられ、とにかくびっくりした。余震が怖い。大きな地震が来るかもしれないと思うと眠れない」と息子を心配そうに見つめた。つえをつきながら、母親と避難した市内の男性(44)は「体が悪いので、地震があったら早めの避難を心掛けていた」と語った。

宮崎県では、県北部の延岡市と高千穂町で震度5強を観測した。県内の各消防本部によると、延岡市で20歳代女性が自宅で転倒して顔に軽いけがを負うなど県内で4人が負傷した。
延岡市の清酒専門メーカー「千徳酒造」の直売所では22日朝、従業員が陳列棚から落ちて割れた酒瓶の片付けを行った。こうじ造りのため、泊まり込んでいたという

杜氏
(とうじ)兼社長の門田賢士さん(58)は「すごい揺れだった。再び大きな地震が起きないことを願いたい」と不安そうに話した。
延岡市上下水道局によると、同市北浦町では約340世帯で断水が発生した。臨時給水所が設けられ、訪れた人に早朝から給水した。高千穂町でも一部地域で断水したという。
延岡市は地震発生を受け、災害対策本部を設置した。未明から次々と職員が市役所に登庁し、被害の情報収集に追われた。市役所内では1階の天井の一部が剥がれ落ち、2階の床には段差ができた。当直の男性は「強い揺れで防火ドアの一部も閉まった。熊本地震の際も、こんなことはなかった」と驚いていた。
市役所には22日未明から避難する人が訪れ、午前8時45分時点では3世帯4人が身を寄せた。近くで一人暮らしをする60歳代女性は、「心臓がばくばくして不安で眠れなかった」と話した。
母親(77)とタクシーで避難した生活介護事業所の通所者の男性(43)は飲料水や予備のマスクを持参し「横揺れが長く続き、跳び起きた。手足が不自由で車いすを利用しており、急な避難が困難なため早めに避難した。地震での避難は初めて。ここなら安心できる」と語った。