NHK不適切字幕「経緯説明に誤り」 関係者への事前確認せず

NHKは24日、BS番組に確認が不十分な内容の字幕があった問題で、経緯説明に誤りがあったと発表し謝罪した。19日の定例記者会見でNHKは、字幕の内容は事前に関係者に確認していたと説明していたが、実際には確認しておらず、説明は虚偽だったことが明らかになった。
番組は、東京オリンピック公式記録映画の監督に密着したドキュメンタリー「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、2021年12月に放送された。総監督の河瀬直美さんから依頼を受けた映画監督の島田角栄さんが、競技場外で男性にインタビューする場面で、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と字幕を付けた。だが、男性が実際に五輪反対デモに参加したかどうかなどの事実確認を怠っていた。
今月19日の記者会見でNHKは、放送前にディレクターが上司から事実関係を確認するよう指示を受けたが、男性ではなく島田さんに確認しただけだったと説明していた。しかし、島田さんは翌20日、放送前にNHKから事前確認はなく、経緯説明は誤りだとして、NHKに抗議していた。
NHKは、「裏付けを取るという基本的な作業を怠っていた」としたうえで、取材に対し「会見で長く説明するうちに誤解を与えるような表現をしてしまった」と釈明した。島田さんには22日に直接謝罪したという。
NHKは、今回の問題について調査する「BS1スペシャル調査チーム」を設置したことを明らかにした。松坂千尋専務理事が責任者を務め、コンプライアンス(法令順守)担当部署もメンバーに加え、原因や問題の背景を把握するために番組関係者の調査を進める。【松原由佳】