「痛い、痛い、痛い」妻の通報内容判明 茨城一家殺傷

茨城県境町の住宅で会社員、小林光則(みつのり)さん(48)と妻のパート従業員、美和さん(50)が殺害され、子供2人が重軽傷を負った事件で、小林さん夫婦の刺し傷は上半身の正面に集中しており、争った際にできたとみられる傷もあったことが25日、捜査関係者への取材で分かった。犯人が襲撃した際、110番通報した美和さんは数分間にわたって助けを求め続けたことが判明。通報時のやり取りから犯行時の凄惨(せいさん)な状況が浮かび上がった。
捜査関係者によると、美和さんから「助けて」と110番通報があったのは23日午前0時40分ごろ。2階寝室にあった固定電話の子機で通報したとみられ、美和さんが、隣で寝ていた小林さんが襲われていることに気付き、慌てて通報した可能性があるという。
「一家襲撃の場合、通報や抵抗を防ぐため、まず一番力の強い対象を狙うことが考えられる」。捜査関係者は、犯人が無施錠のドアや窓から侵入後、2階の別の部屋で就寝中だった中学1年の長男(13)と小学6年の次女(11)よりも先に夫婦を標的にしたとの見方を示した。
110番の受理担当者とのやりとりの中で、美和さんから声が発せられなかったり、物音が響いたりしたが、「痛い、痛い、痛い」とも繰り返した。犯人の矛先が小林さんに続いて美和さんに向けられ、美和さんは凶器で切り付けられながらもやりとりを続けていたとみられる。
受理担当者が救急車を呼ぶか尋ねたところ、不要だという趣旨の回答をしたため、再度確認すると、「いる」と返事をするなど、緊迫した状況の中、混乱した様子もあったという。
最終的に通報時のやりとりは数分間に及び、その間に襲撃を受け続けていた可能性がある。その後、県警が小林さん方に電話をかけ直しても、応答はなかった。
捜査関係者は、受理担当者との交信が終わるタイミングで美和さんが命を奪われ、電話を切ったのが犯人である可能性も指摘した。
犯人は夫婦を殺害した後、別の部屋の2段ベッドで寝ていた長男と次女を襲撃した疑いがあり、上段にいた次女は「スプレーのようなものをかけられた」といい手に痛みを訴え、下段の長男は腕などを切られ重傷を負った。1階で寝ていた大学3年の長女(21)にけがはなく、「物音やサイレンの音で気付いた」と話しているという。