新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」ではデルタ株と比べて、ウイルスが細胞にくっつくのを防ぐ抗体薬の効き目が弱まるとの結果を、東京大医科学研究所と国立感染症研究所の研究チームがまとめた。体内でウイルスの増殖を防ぐ抗ウイルス薬は同等の効果がみられたという。26日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。
河岡義裕・東大特任教授(ウイルス学)らのチームは培養細胞を使った実験で、既存のコロナ治療薬の効果を調べた。
抗体薬はウイルスが細胞にくっつくのを阻害し、体内での増殖を抑える働きがあり、抗体カクテル療法に使う「ロナプリーブ」などが日本でも承認されている。実験の結果、ロナプリーブがオミクロン株の増殖を抑える効果は、デルタ株に対する効果の5261分の1以下と著しく弱かったという。別の抗体薬「ソトロビマブ」も約3分の1の効果に弱まっていた。
一方、抗ウイルス薬は体内に侵入したウイルスが増殖するために必要な酵素の働きを阻害する。飲み薬の「モルヌピラビル」などがそれに当たる。
実験の結果、モルヌピラビルや、同じく国内で承認されている点滴型の抗ウイルス薬「レムデシビル」は、デルタ株に対する効果と同じ程度にオミクロン株の増殖を抑制できたという。
オミクロン株は国内外で感染が広がっており、医療現場の負担軽減のためにも有効な治療薬の選択が欠かせない。河岡特任教授は「抗体薬に関しては、オミクロン株の複数の変異によって、ウイルス表面のスパイクたんぱく質と抗体が結合しにくくなっていると考えられる。臨床現場で治療効果を慎重に見極めていく必要がある」と話している。【岩崎歩】