亜種「ステルスオミクロン」確認 感染力18%高いか

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」について、現在の主流株とは変異が異なる亜種が国内で少なくとも27例確認されていることがわかった。感染力が主流株より18%高い可能性があるとされ、海外の一部の国では置き換わりの傾向もみられる。今後、日本でも感染拡大を引き起こす懸念があり、国立感染症研究所(感染研)が警戒を強めている。
世界で増加する亜種「BA.2」
オミクロン株は、人への感染を繰り返す中で系統が複数に枝分かれしており、同じ株の中で遺伝子配列が異なる「BA.1」や「BA.2」といった複数の亜種が報告されている。
世界保健機関(WHO)などによると、現在、世界の主流はBA.1で、25日現在、欧米の研究者らでつくる国際データベース「GISAID」に登録された新型コロナのウイルスゲノム(全遺伝情報)の98・8%を占める。一方、多くの国でBA.2の割合が増加傾向にあり、WHOは「優先して特性の調査を行うべきだ」としている。
デンマーク国立血清研究所によると、同国内での症例はBA.1の割合が減少する一方、BA.2の割合は増加傾向にあり、20日時点でBA.2が約45%を占めている。ノルウェーでもBA.2の検出率が増えており、同国公衆衛生研究所は26日、1月中に解析したウイルスゲノムのうち、BA.2は約10%だったと報告。英国でも感染者が増加しているとして保健当局が調査を始めた。
感染研の集計によると、国内でも昨年12月以降、BA.2は27例確認されている。ただ、全陽性検体の一部でしかゲノム解析を行っておらず実際にはさらに多い可能性がある。空港などの検疫でも増加しており、厚労省の集計では今月26日現在で313例を確認。フィリピンやインドからの入国者の感染が多いという。
厚労省に助言する専門家組織の26日の会合では、デンマークの情報をもとに、感染者1人が何人に感染を広げるかを示す「実効再生産数」が、BA.2はBA.1よりも18%高いとの分析結果が示された。
デンマークなどでは100万人あたりの新規感染者数が一度減少傾向を示した後に再び増加に転じているといい、専門家組織の座長を務める脇田隆字(たかじ)・感染研所長は「BA.1からBA.2への置き換わりによってさらに感染拡大が進んでしまうことを示すデータで、警戒が必要だ」と指摘。国内の感染状況を監視していく必要があるとした。
再感染、ワクチン効果低下などの分析必要
では、BA.2はどのような特徴があるのだろうか。
感染研などによると、BA.2は、BA.1よりも遺伝子配列の変異の箇所が少ない。また、細胞への感染に使う表面のスパイクタンパク質の変異がBA.1と一部で異なっている。この影響で、一部の国では、BA.2がオミクロン株検出用のPCR検査をすり抜けるとして「ステルスオミクロン」と呼ばれている。日本では別の変異箇所を対象にオミクロン株を検出しているため問題はないという。
英保健当局によると、初期段階の解析のため正確性は低いが、BA.2は、BA.1よりウイルスの増殖率が高い可能性がある。一方、デンマークからの報告では、2つを比較したところ、入院するリスクに差はないとされる。
新型コロナの研究を行っている北海道大の福原崇介教授(ウイルス学)は「デルタ株とオミクロン株の比較の差ほどではないが、BA.1とBA.2は微妙に変異のパターンが異なっている。BA.1の感染者がBA.2にも再感染してしまうのかや、既存ワクチンの効果の低下、病原性が向上しているのかどうかなどの解析を急ぐ必要がある」と話している。