カンニングに使われていたのはスマートフォンだった。デジタル機器を使った不正行為をどう防ぐのか。関係機関は知恵を絞らねばならない。
大学入学共通テストの問題の画像が外部に流出した疑惑で、大阪府に住む19歳の女子大学生が警察に出頭した。
女子大学生は、家庭教師紹介サイトで知り合った東京大の学生らに試験中、インターネットを通じて画像を送信し、解答するよう依頼したことを認めている。紹介サイトには、最初からカンニングの目的で登録していたという。
関西の大学に通いながら東京都内の有名私大を目指したが、「成績が上がらずに魔が差した」と話しているとされる。
スマホが普及し、わからないことがあれば、すぐにネットで検索することが当たり前のようになっている。良い成績をとらねばならないと追い込まれ、軽い気持ちでスマホに頼ったのだろうか。
警視庁は、偽計業務妨害容疑も視野に女子大学生から任意で事情を聞いている。画像の撮影方法については「上着の袖に隠したスマホで動画を撮り、静止画にして送った」と説明しているという。
再発防止につなげられるよう、手口の詳細を解明してほしい。
今やスマホは受験生の大半が試験会場に持ち込んでいる。大学入試センターは試験中、電源を切ってカバンの中に入れておくことを求めているが、それでも今回のような事態が起こったことを重く受け止める必要がある。
センターは、女子大学生がスマホを操作した会場の監督状況や座席の配置などを検証し、再発防止策を検討することが重要だ。
試験会場にスマホの通信を妨害する装置を設置したり、一時的にスマホを預かったりする案もあるが、50万人近くが受験する共通テストでは実現が難しいだろう。
文部科学省は今後の入試で、会場内の巡回を強化するよう大学に通知した。各会場は緊張感を持って対応にあたってもらいたい。
入試の不正は代償が大きい。結果が無効になり、仮に発覚しなくても、後ろめたい気持ちで、その後の人生を送ることになる。
共通テストを巡っては、高校2年の少年が試験当日、受験生らを刃物で刺傷する事件があったばかりだ。成績が上がらないことを苦にしていた点が共通している。
成績などの結果だけが人生のすべてではない。努力することの尊さを、教育現場や家庭は子供たちに伝えていくことが大切だ。