改良型の鹿わな、和歌山県では効果絶大なのに…なぜか捕獲ゼロの市

和歌山県などで鹿の多頭捕獲に大きな成果を上げている改良型のわなが、愛知県豊田市では1頭も捕獲できない状況が続いている。生息地域による習性の違いが要因とみられ、市内に生息する鹿は、わなに近づくだけ。鹿の食害被害が年々増加している市は、わなの改善策を模索している。
改良型のわなは、鹿の侵入部分のゲートを従来の鉄製から、潜り込み式のネットに変更している。従来型のゲートでは、鹿が中に入ると「ガシャン」と大きな音を立てて入り口部分が落ちるため、音に驚いた他の鹿が逃げ出し、1頭しか捕獲できない。しかしネットのゲートは、鹿が入っても音がしないため、和歌山県内では、一度に鹿3~4頭を捕獲するなど大きな成果を上げているという。
鹿の食害被害が増えている市では昨年9月、同県と同様の成果を期待し、改良型のわなの実証実験を始めた。設置したのは、市内の山間部にある3地域で、センサーカメラで鹿の出没状況を監視するなど、効果を検証している。
映像には、鹿がゲート内に置いた餌の米ぬかやトウモロコシにつられてわなの近くまで来る様子が見られたが、ネットをくぐって中に入る鹿は1頭もいなかった。
市内に生息する鹿は田んぼの稲を中心に荒らしているため、市農業振興課の鈴木聖人さんは、鹿がネットに警戒心を持っていると分析。「和歌山県では、鹿がミカンなどの果樹園の周囲に張り巡らされたネットをくぐって、農作物を荒らしており、ネットをくぐることに抵抗がないのでは。これほど地域によって違いが出るとは思わなかった」と肩を落とした。
市は改良型のわなの設置を続けているが、捕獲できておらず、更なる改良が出来ないかを検討している。

獣害被害が増加傾向の豊田市では近年、鹿による被害が急増している。
市によると、鹿の食害被害は2009年から増加を始めた。16年に約270万円だった被害額は、翌17年に2倍以上となる約640万円まで急増。その後も被害地域が拡大し、19年には1000万円を超えた。