災害不明者の氏名「原則公表」、政府が自治体向けに統一基準策定へ

政府は、災害時に所在が分からない人の氏名を自治体が速やかに公表できるよう、統一基準作りに着手する。緊急時は「原則公表」と規定し、円滑な捜索や救助活動に生かす狙いがある。2月下旬にも有識者による検討会で議論を開始し、来年度中の指針策定を目指す。
災害時の所在不明者らの氏名公表を巡っては、各自治体がそれぞれ制定する個人情報保護条例に基づいて判断してきたため、対応にばらつきが生じている。自治体によっては、家族の同意がないことなどを理由に氏名を公表せず、避難所にいることを知らずに捜索を続ける事例も起きている。
一方、昨年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害では、県と市が発生2日後に所在の分からない64人全員の氏名を公表。本人や家族からの情報で翌日までに44人の所在が確認され、救助対象者の素早い絞り込みにつながった。これを踏まえ、内閣府は同年9月、各都道府県に対し、災害時の氏名公表を検討するよう通知していた。
統一基準作りは、防災や個人情報などに詳しい有識者や関係省庁などを集めた検討会で進める。家庭内暴力(DV)やストーカーの被害者ら公表の対象外とする人の範囲や、年齢や住所、職業など氏名以外にどこまで個人情報を公表するかが主な論点となる。
災害時に緊急車両のルートを確保するためにスマートフォンの位置情報を利用することができるかなど、災害時の個人情報の取り扱い全般を議論し、統一的な指針を作成する方向だ。
昨年5月成立の改正個人情報保護法は、個人情報の取り扱いを国の個人情報保護委員会が一元的に監督するとしている。各自治体は、来年までに施行される同法と新たな指針に基づき、氏名公表に向けた条例改正などに取り組むことになる。
内閣府は「分かりやすい基準を示し、自治体が災害時にためらわず安否情報を公表できるようにしたい」としている。