埼玉立てこもり事件1週間 治療に不満か、計画性など追及

2人が死傷した埼玉県ふじみ野市での人質立てこもり事件は、3日で発生から1週間を迎える。渡辺宏容疑者(66)=殺人容疑で送検=は、1月26日に亡くなった母親への弔問を求めて担当医だった鈴木純一さん(44)らを自宅に呼び出し、鈴木さんを散弾銃で撃って殺害したとされる。東入間署捜査本部は、母親の治療をめぐり不満を募らせて事件を企てたとみており、詳細な経緯や動機の解明を進める。
事件は1月27日午後9時ごろ、ふじみ野市大井武蔵野の渡辺容疑者宅で発生した。
渡辺容疑者は「線香を上げてほしい」と鈴木さんら医療関係者7人を自宅に呼び出し、母親の遺体が安置されていた1階の和室に7人が入った後、母親の心臓マッサージを求めた。
要望を断られると、渡辺容疑者は散弾銃で鈴木さんと理学療法士の男性(41)を相次いで撃ち、医療相談員の男性に催涙スプレーを噴射したとされる。その後立てこもり、翌28日朝、突入した捜査員に逮捕された。鈴木さんは即死し、理学療法士は重体だが一命は取り留めた。
捜査関係者によると、銃弾は少なくとも3発発砲されており、当時の状況を詳しく調べている。7人が訪れた際にすでに銃弾が装(そうてん)されていたのか、催涙スプレーをいつ購入したのかに関しても確認を進め、計画性の程度について解明を目指す。銃弾の購入には事前の申請が必要なため、銃砲店での購入履歴なども調べている。
また、7人が渡辺容疑者宅を訪れてから、発砲音が聞こえたという近隣住民からの110番通報までに20分弱の時間があったことから、心臓マッサージの要望以外にも何らかのやり取りが行われたとみている。
渡辺容疑者は当初は黙秘していたが、その後、自殺を図ったと供述し「母が死んでしまい、この先いいことがないと思った」「自分だけでなく先生やクリニックの人を殺そうと思った」と説明しているという。
鈴木さんが母親の治療を担当するようになってからの期間は、渡辺容疑者の供述によると「5、6年ほど」。治療をめぐり、渡辺容疑者は鈴木さんらに不満を直接ぶつけることがあったといい、捜査本部は、鈴木さんを最初に狙った背景などを追及している。(深津響)