北新地ホステスが不正受給証言 「協力金もらい深夜営業」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休業や営業時間の短縮などに応じた飲食店に対して、行政は協力金を支給するなどして支援している。一方で、同一店舗からの二重申請や営業許可証の偽造申請など、飲食店側からの不正な申請も少なくない。この協力金をめぐり、大阪・北新地でクラブなどを経営する運営会社のホステスら複数の元従業員が「系列店の深夜営業を隠蔽(いんぺい)し、協力金を詐取していた疑いがある」と告白、不正の手口を産経新聞の取材に打ち明けた。
取材に応じたホステスによると、自らの勤務先だったクラブや複数の系列店では少なくとも昨年春以降、行政側からの自粛要請を無視する形での深夜営業が続いた。このクラブは、協力金を申請していなかったとみられるが、「複数の系列店では深夜営業を続けながら協力金も申請していた」と明かす。
系列店の中には、感染防止対策に関し大阪府の認証を受けたことを示す「ゴールドステッカー」を取得した店も存在。ステッカーの取得は協力金受給の要件であり、感染防止対策を取らないなど府が基準を満たさないと判断した場合、認証が取り消される可能性もある。
ホステスは、不正発覚の可能性を気にしつつ「行政が見回りに来ても大丈夫なのか」とあやしんだが、会社側の幹部は「どうせ夕方にしか役所は来ない」と応じたという。
支払いが現金ならばともかく、クレジットカードであれば決済時刻の記録が残る。どのように深夜営業を隠蔽するのか。経理担当だった別の女性が説明する。
「系列店で客がカード決済を求めるたびに、男性従業員がカードを持って町の中を走り、協力金を申請していないクラブの端末で決済をしていた。売り上げの付け替え先として便利だった」
女性は昨年秋ごろ、こうした決済のあり方に不信感を覚え、知人に相談。「協力金の詐取ではないか」と指摘され、驚きのあまり会社側に不正をやめるよう訴えたが、「まあまあまあ」と言葉を濁されるだけだったという。
産経新聞では、府への取材などから、深夜営業が指摘された系列店と同じ名称の店が、複数回にわたり協力金を申請していたことを確認した上で、会社側にも取材を申し入れた。
会社側は「(不正の)事実はないと判断しているが念のため、これまでの申請における過誤について社内調査を行い、結果を踏まえてしかるべき対応をする」と回答した。

過去に疑わしい申請も 不正の証拠入手難しく

一昨年以降、大阪府内では断続的に緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置といったコロナ感染の拡大防止策が講じられ、飲食店には休業や営業時間の短縮が求められた。1月27日に始まった蔓延防止等重点措置の期間中でも、営業を遅くとも夜9時までとする時短要請に応じた店に、大阪府は協力金を支給するとしているが、過去には疑わしい申請も存在した。
府によると、昨年9月時点で、2度目の宣言期間だった昨年1月14日~2月7日の分の申請件数約5万7600件のうち、未支給の案件が約千件あった。
内訳は、不支給が約500件▽書類の修正などを経て今後支給する分が約100件▽審査に時間がかかっている分が約400件―だったという。
府のルールでは、協力金を受け取りながら、時間外の営業が発覚した場合、受給した協力金を返還しなければならないが、返還に至るケースはまれだという。
府の担当者は「不正の通報はかなりの件数が寄せられているが、十分な現地調査部隊が常駐しているわけではない。後追いの調査となり、証拠を押さえるのが難しい」としている。