「1票の格差」が最大2・08倍だった2021年10月の衆院選は、投票価値の平等を定める憲法に反するとして、弁護士グループが近畿2府4県の全47選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、大阪高裁(太田晃詳(てるよし)裁判長)は3日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した上で、無効の訴えは棄却した。原告側は上告する方針。
二つの弁護士グループが289全ての小選挙区を対象に全国14の高裁・高裁支部に起こした同種訴訟で、「違憲状態」の判断が示されるのは1日の高松高裁に続き2例目。各地の判決が3月9日までに出そろい、最高裁が年内にも統一判断を示すとみられる。
21年衆院選は、議員1人当たりの当日有権者数が最も少なかった鳥取1区と最多だった東京13区の格差は2・08倍で、前回の17年衆院選の1・98倍よりも最大格差が広がった。
判決は格差が2倍以上の選挙区が全国に29あったことに触れ、現在の区割りは「憲法の投票価値の平等の要求に反する、是正すべき状態と言わざるを得ない」と指摘した。ただ、国会で格差が2倍以上になると認識され始めたのは国勢調査の結果が出た選挙4カ月前で、是正に必要な合理的期間が経過していないとして、「違憲とまではいえない」と結論付けた。
「1票の格差」訴訟は①格差が違憲か②是正に必要な期間が過ぎたか――の2段階で違憲性が判断される。格差部分のみ認められると「違憲状態」、期間も過ぎたとされれば「違憲」となる。
最高裁が2倍を超えた過去の選挙について「違憲状態」と判断する中、国会は16年、人口比をより正確に反映できる「アダムズ方式」を20年の国勢調査後に導入することを決めた。暫定的な区割り変更で格差が2倍を下回り、最高裁は17年衆院選に対する判決で「合憲」と判断した。
しかし、21年衆院選はアダムズ方式での区割りが間に合わず、前回と同じ区割りで選挙を実施。人口変動に伴って格差は再び2倍を超えたため、原告側は「国会の怠慢だ」と主張した。【芝村侑美】