水道管塗料に規格外の原料使用、都と18政令市が800件の工事を一時停止

今年1月、中堅塗料メーカーの神東塗料(兵庫県尼崎市)が認証規格外の水道管向け塗料を使っていたことが判明し、東京都や横浜、さいたま、川崎など全国18政令市で少なくとも約800件の水道関連工事が一時停止していたことが読売新聞の取材でわかった。複数の自治体では損害賠償の請求を検討するなど影響が広がっている。
神東塗料は1月、腐食を防ぐ水道管向けの塗料計17製品について、認証機関である日本水道協会(東京)が定めた規格外の原材料を使うなどの不適切行為があったと発表した。同社から報告を受けた協会が、各水道管メーカーに神東塗料の製品を使用した一部の水道管の出荷自粛を要請した。
読売新聞の調べでは、東京都と全国18政令市で約800件の工事が1週間程度中断した。このうち東京都は約200件、大阪市は約140件、横浜市は約60件に上った。
相模原市では約30件の工事が停止した。神奈川県の担当者は「こんな事態は経験がない。工事にかかる追加のコストが発生すれば、補償されるべきだ」と強調する。約20件の工事が止まった広島市も損害賠償の請求を検討する。
日本水道協会は1月中旬、神東塗料の製造工場に立ち入り調査を実施した。一部の製品は「安全性に問題はなかった」として、水道管の出荷自粛要請を解除したが、引き続き品質管理の状況などを調べている。
神東塗料の担当者は「自治体から損害賠償の請求があれば、誠意をもって対応したい」と話している。