中国や韓国産のアサリが「熊本県産」として大量に流通していた問題を受け、熊本県産アサリの出荷停止が始まった8日、蒲島知事が国に産地偽装対策の緊急要望を行うなど、関係者が根絶に向けた一歩を踏み出した。一方、旬を迎えた県産のハマグリが大量に返品されるなど、思わぬ余波も広がっている。(内村大作)
出荷停止は「熊本生まれ熊本育ち」の県産アサリの出荷を約2か月間止めて、流通過程で生じる偽装の実態を明らかにしようと、県が県漁連に協力を要請。県漁連は8日の入札を見送り、既に出荷されていた分も11日以降は市場からなくなる見込みという。
近年、アサリの漁獲が激減し、この時期、県漁連の貝類入札会に出品しているのは川口漁協(熊本市南区)だけ。貝類を扱う組合員は約130人おり、漁協ではアサリの出荷停止の間、ハマグリ漁は継続し、漁業者の収入を確保する予定だった。
潮目が変わったのは今月5日。県外の取引業者から「売り先がないので、どうにかならないか」と連絡が入った。漁協では3日に出荷したばかりの1・9トンを引き取って漁場に戻し、約300万円の収入が消えた。
1度延期し、10日に実施予定だったハマグリの入札会も、結局、県内外の商社7社が参加を辞退し中止になった。商社は前回入札で仕入れた在庫を抱えている状態という。漁協は、12~17日の操業中止を決め、組合員に通知。入札が行われていれば3トン余りの出品で、400万円以上の売り上げが見込まれたという。
ハマグリは、桃の節句を控えた2月に最も高値で取引される。アサリの漁獲が増えない中、漁業者にとっては貴重な収入源がなくなった格好だ。22日の次回入札が行われるかも不透明という。
漁協によると、全国有数の漁場である緑川河口域でとれるのは、日本固有の「本ハマグリ」で希少性が高い。川口漁協の組合長も務める県漁連の藤森隆美会長は、見分けにくいアサリとは異なり、外国産との違いははっきりしていると説明。「何もしていない漁業者が、なぜ生活ができない状況に追い込まれないといけないのか。アサリの出荷停止期間を延長してでも、産地偽装の撲滅に向けた仕組みを県と一緒に作り上げたい」と語気を強めた。