「電子令状」導入、賛同多く 法務省検討会 IT化で迅速執行

刑事事件手続きのIT化について議論している法務省の検討会(座長=小木曽綾・中央大教授)は10日、賛否の状況をまとめた報告書案を示した。逮捕状や家宅捜索令状といった令状をオンラインで請求し、発付を受ける「電子令状」の導入のほか、書類の電子データ化や送受信を可能とすることについて多くの賛同が得られたという。3月にも了承され、法務省は法改正に向けて法制審議会(法相の諮問機関)への諮問を検討する見通し。
現在の刑事手続きでは、集めた証拠の内容や起訴状、当事者の主張は、主に紙の書類に記録して保管されている。しかし、情報通信技術の進展で、大量の情報を瞬時に送受信できるようになったことを踏まえ、報告書案は「情報通信技術が刑事手続きで広く活用されることになれば、人的・物的資源の有効活用がこれまで以上に可能になり、国民にとっても利便性が大きく向上する」と指摘した。
報告書案では、刑事手続きで作成される書類について「電子データとして作成・管理し、オンラインで送受信でき、紙媒体と同じ効力を与える」との考え方が示された。
捜査機関が逮捕や捜索などの強制捜査をするには、裁判官に理由を示して令状を請求し、発付を受ける必要がある。現状は紙でやり取りするため、令状を得るには裁判所への行き来に、特に遠隔地の場合に時間がかかることがある。報告書案は、捜査機関がオンラインで請求書や請求の理由を裁判官に送り、電子データで受け取る「電子令状」の導入を盛り込んだ。実現すれば、捜査員がタブレット端末に令状を示して執行することも可能になり、迅速化につながるとみられる。
刑事訴訟法は、公判で検察側が裁判所に採用を求める証拠は、弁護側に閲覧する機会を与えなければならないと定める。弁護側は公判に備えて書類をコピーしているが、証拠が膨大な場合には、一つの事件で数百万円のコピー代が必要となることもあるとされる。報告書案では、電子データ化された証拠は「オンラインで閲覧やコピーの機会を与えることができる」との方向性が示された。
一方、電子データが流出した場合には、インターネットを通じて際限なく拡散される恐れがあるため、情報セキュリティーの確保のために更なる措置を講じる必要があるとの指摘も出た。【山本将克】