新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の開始時期が前倒しされ、積雪シーズンと重なる豪雪地帯の自治体は、集団接種会場の除雪や高齢者らの交通手段確保に苦慮している。専門家は雪道の危険性や転倒防止対策の必要性を指摘する。
雪下ろしに奔走
7日に高齢者向け集団接種を始めた新潟県湯沢町。当初は「雪で駐車場を確保できない」と3月開始を検討していたが、政府の方針を受けて大幅に早めた。
ただ、1年で最も積雪が多い時期で、会場の開設直前にも1メートル近い雪が降り、職員らが駐車場や通路の除雪、屋根の雪下ろしに追われた。初日に接種を受けた作業員の男性(68)は高さが3メートルに迫る雪を前に、「身近で感染者が出たという話を聞いている。大雪の中でも接種を受けられてよかった」と
安堵
(あんど)した。
10日時点で積雪が1メートル50前後の山形県最上町も、雪が解ける3月下旬に設定していた集団接種の開始を今月14日に早める。転倒事故よりも、コロナ感染の方がリスクは大きいと判断した。だが、会場となる町健康センターは、排雪できない雪が約200台の駐車スペースの半分を占領している。町の担当者は「早く雪を別の場所へ移して使えるようにしたい」と語る。
タクシー代補助も
3月の開始予定を今月22日に変更した秋田県湯沢市は、集団接種会場までのタクシー料金を半額助成する。昨年4~7月の1、2回目の接種では無料送迎バスを運行したが、この時期は積雪で狭くなった路地を走れないからだ。市内4社のタクシーに乗る際、接種券や接種済み証を示せば、料金が割り引かれる。市の担当者は「接種の前倒しで、雪対策も重要になった」と気を引き締める。
今後もしばらくは大雪の懸念が続く。接種事業を担う自治体には、高齢者の転倒防止策が必要となる。
転倒事故に詳しい北海道医療大の鈴木英樹教授(地域理学療法学)は、会場周辺に融雪剤や滑り止めの砂をまくとともに、会場内でも靴裏に付いた雪や水分で滑る危険があるため、十分な量を吸水できるマットを敷くなどの対策を取るように求める。鈴木教授は「手袋や帽子を着用すれば、転倒しても手や頭への衝撃を弱められる」と訴える。