飲酒後に禁止の右折で男性はねた後、時速60キロ台に加速した元少年…赤信号無視で女性もひき逃げ

金沢市片町で男女2人が死傷したひき逃げ事件で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)などに問われた元少年(20)の裁判員裁判が9日、金沢地裁(大村陽一裁判長)であった。被告人質問で、元少年は事件前にカラオケ店で飲んだ酒は発泡酒1缶(500ミリ・リットル)だけとし、「運転する時にはアルコールが抜けていると思った」と述べた。
カラオケ店で同席した男女は曲に合わせて焼酎などを一気飲みしたが、元少年は運転に支障が出ると考え、「場の雰囲気を壊さないよう、コップに口をつけて飲むふりをしたり、茶や水を飲んだりした」と述べた。
香林坊交差点での事故では、衝突音がしたものの、人をはねたと明確に認識していなかったと説明。片町1丁目交差点で赤信号を無視した原因を「バックミラーなどを見て、後方に気を取られていた」と話した。
女性をはねた状況は「ボンネットからフロントガラスに女性が乗っかってくるのを見た」と振り返った。直後の心境は「何が起きたか分からなくなり、その後(しばらく)のことは覚えていない」と語った。
帰宅後、母親に事故のことを相談して警察に話す決心をし、「気持ちを落ち着かせるために発泡酒1缶(350ミリ・リットル)を飲んだ」と説明した。
検察側は、片町1丁目交差点での事故について、元少年がカラオケ来店前に同じ場所を通っており、運転中には前を向く時間もあった点を挙げ、「赤信号に気付かなかった」という元少年の説明の信用性を追及した。消防や警察に通報しなかった理由を問われた元少年は「目撃者が連絡してくれるかもという気持ちもあった」と答えた。
事件を捜査した警察官への証人尋問では、事故前後の車の速度が説明された。警察官は現場周辺の四つの防犯カメラの映像などから、元少年が男性をはねる前に25キロほどだった車の速度は、香林坊交差点で男性をはねた後、35、42、48キロと加速し、「片町1丁目交差点の手前では時速約64~68キロに達していた」と証言した。
弁護側は、同型の車で検証をしていない点などを指摘した。
元少年は、被害者参加制度を利用した遺族の代理人から、女性をはねた後すぐに救護しなかった理由を尋ねられ、「頭が真っ白になっていた」と答える場面もあった。
起訴状などによると、金沢市の解体作業員で当時19歳の元少年は2020年12月26日午前6時40分頃、同市片町で酒気を帯びた状態で乗用車を運転。香林坊交差点で70歳代男性をはねて重傷を負わせ、直後に赤信号を無視して約100メートル離れた片町1丁目交差点に進入し、女性(当時78歳)をはねて死亡させ、そのまま逃げたとされる。