人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を「ひも状」に加工し目の難病患者などに移植する新たな臨床研究計画について、神戸市立神戸アイセンター病院が厚生労働省に実施申請したことが17日、分かった。同日夕に開かれる同省の作業部会で審議が行われる。計画の妥当性の審査を委ねていた大阪大の有識者委員会が1月26日に了承したことから、厚労省に実施を申請した。ひも状への加工はあまり時間がかからず、移植後も定着しやすい長所があるという。
対象となるのは、網膜の最も外側にあり、網膜全体に栄養を与える役割を担う「網膜色素上皮」に異常が生じ、ものを見る力が衰えた網膜色素上皮不全症の20歳以上の患者50人。不全症には失明につながることもある加齢黄斑変性や、難病の網膜色素変性症の一部が含まれる。
京都大が備蓄するiPS細胞から網膜色素上皮の細胞を作製し、微細なひも状に加工。患者の網膜に移植して、4年間にわたって経過観察し、安全性と有効性を確認する。同病院は既に、iPS細胞から作った網膜色素上皮の細胞を浮遊させた「懸濁(けんだく)液」という液体を、網膜色素上皮不全症患者の網膜に注射する移植手術を昨年3月に実施しているが、ひも状に加工した状態での移植は初めて。
同病院がこれまでに行ってきた、iPS細胞を利用して目の病気の患者の治療を目指す臨床研究では、移植する細胞は懸濁液の状態か、シート状に加工したものだった。懸濁液は、ばらばらの状態の細胞が移植後に死滅せず定着する比率の低さが課題だ。一方、細胞がくっつき合うシートは移植後も生き残りやすいが作製に手間と時間がかかる。そこで今回は、ひも状に加工することで、生残率の向上や迅速な作製を実現し、課題の解決を目指す。