2018年に福岡県田川市で1歳4カ月の男児が医師の診察を受けずに低栄養状態で死亡し、遺体にエアガン発射によるとみられるあざが多数見つかった事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親で無職の常慶藍被告(26)は21日、福岡地裁(溝国禎久裁判長)の裁判員裁判初公判で、起訴内容を否認した。藍被告は「(男児を)病院に連れて行かないといけないということは、分かりませんでした」と述べた。
検察側は冒頭陳述で、藍被告は、男児の兄妹を病院で受診させており、介護職員の勤務経験もあることなどから、男児の保護の必要性を認識していたことを立証していくとした。
弁護側は、公判前整理手続きで藍被告に軽度の知的障害があると認定した地裁の鑑定結果を踏まえ、男児の衰弱状態などを正確に認識できていなかったと主張した。18年12月1日未明に119番するまで病院に連れて行く必要性を分かっていなかったとして「罪を犯す意思があったとは言えず無罪」と述べた。
起訴状などによると、藍被告は夫の土木業、雅則被告(26)=保護責任者遺棄致死罪などで起訴=とともに、18年10月に三男唯雅(ゆいが)ちゃんが重度の低栄養状態に陥り、翌月にかけあばら骨など多数を骨折して肺感染症を発症したにもかかわらず、医療機関を受診させず同年12月に肺炎で死亡させたとされる。
証拠調べで検察側は、唯雅ちゃんの遺体全身には円形の傷が71カ所、骨折が31カ所あったことを明らかにした。虐待以外の原因は考えにくいとする医師の見解を読み上げ、趣味でエアガンを持っていた雅則被告が唯雅ちゃんを撃っていたと結論づけた捜査報告書も示した。雅則被告は唯雅ちゃんに至近距離からエアガンを発射し、全身に全治約3週間の傷を負わせたとされる傷害罪にも問われ、藍被告とは別に審理される。【平塚雄太】