日本維新の会の遠藤敬・国会対策委員長(53)が、自らの選挙区内の複数の有権者に高額な犬を無償で譲渡していたことが「 週刊文春 」の取材でわかった。公職選挙法で禁じられている寄附行為に抵触している疑いがある。
遠藤氏は飲食店経営などを経て2012年の衆院選に大阪18区から出馬し、初当選。2015年から現在まで国会対策委員長の要職にある。
一方で、自身も秋田犬のブリーダー(繁殖者)だった遠藤氏は、2016年から公益社団法人「秋田犬保存会」の代表理事を務めている。
保存会は2020年度に、秋田県大館市から秋田県保存会補助金という名目で128万4000円の補助金を受け取っているほか、公益社団法人として、寄附金の控除や収益の非課税など税制上の手厚い優遇措置を受けている。
「週刊文春」2月24日号 では、秋田犬保存会が主催する「本部展覧会」で不公平な審査が行われているとの指摘が相次ぎ、一般社団法人法の違反の疑いがある実態などを報じた。
その遠藤氏は国会議員になって以降、秋田犬を無償で譲渡してきたという。
遠藤氏の支援者でもある和歌山市の経営者が明かす。和歌山市は遠藤氏が重複立候補した近畿比例ブロックに含まれている。
「昨年は遠藤さんから仔犬をタダで貰った。(政治資金パーティに)参加したこともありますよ」
評価額は30万円を下らない仔犬
その仔犬は、昨年末の本部展覧会の幼犬最優秀賞を受賞。関係者によれば、本部展で上位を狙える仔犬が販売される場合の評価額は、30万円を下らないと見られる。
さらに、遠藤氏の選挙区である大阪18区の有権者も「遠藤氏が実質的に所有する秋田犬を譲り受けた」などと証言した。
公職選挙法に詳しい神戸学院大・上脇博之教授が指摘する。
「公職選挙法(199条の2第1項)は選挙区内の者に対する寄附を禁止し、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金が規定されている。『選挙区』には遠藤氏が重複立候補する比例近畿ブロックも含まれ、遠藤氏の犬の無償譲渡は違法な寄附の可能性があります」
遠藤氏に話を聞いた。
――本部展で上位を狙える仔犬は30万円ほどする?
「そうそう、そうそう」
――和歌山の犬など、その後上位入賞した仔犬を無償で譲渡している。
「そう。あの犬は僕の家で生まれて4~5カ月経ってから貰ってもろうた」
――違法な寄附では?
「違法な寄附では?」の問いに、遠藤氏は…
「違法って言われても仕方ないけど、正式にはね。親戚みたいな人たちやけど、寄附行為と指摘されたらそうやなと思いますね」
遠藤氏は書面で以下のように回答した。
「ご指摘の秋田犬のやり取りにつき、議員を志す前から家族同然の付き合いをしたり、天然記念物である秋田犬の保護繁殖及び文化の保存発展のため、犬質の向上を共に励んできた30年来の犬仲間の方々との間のものであり、選挙や政治とは一切無関係なものです。そして、この犬仲間の間で秋田犬が行き来することはよくあり、持ちつ持たれつの関係にあります。よって、選挙での集票のために、不特定多数の方々に財物を無償で譲渡するケースとは大きく異なり、30年来の犬仲間が協力して良い秋田犬を作出しているという実態をご理解頂けますと幸いです」
遠藤氏が代表理事を務める公益社団法人の違法疑惑に続き、秋田犬を巡って浮上した自らの政治活動にも関わる疑惑。税金も投入され公共性、公平性を求められる公益社団法人のトップを国会議員が長年務め、それを政治活動に利用している疑いが浮上したことで、公益社団法人「秋田犬保存会」のあり方が問われそうだ。
2月22日(火)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および2月24日(木)発売の「週刊文春」では、遠藤氏から秋田犬を譲り受けたとする別の有権者の証言、秋田犬の販売を巡るもう1つの違法疑惑、遠藤氏との詳しい一問一答などについても報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年3月3日号)