アサリ産地偽装 熊本県、3年前の調査で「不適切な蓄養情報」把握

中国などから輸入されたアサリが「熊本県産」として流通していた問題で、熊本県は22日、2019年に蓄養場を貸し出している漁協から聞き取り調査した際、一部の漁協から「短期間の蓄養で出荷している業者がいるようだ」との回答を得ていたと明らかにした。その時点で産地偽装対策に着手できた可能性があるが、担当課は当時、それ以上の調査をしておらず「偽装防止の視点が欠けていた」としている。
食品表示法上の「長いところルール」では、生育期間が最も長い場所を原産地表示することになっている。しかし、今回明らかになったアサリ産地偽装では、熊本県内での蓄養期間が輸入元の中国などでの生育期間より短いにもかかわらず熊本県産と偽装表示されていたケースがあるとみられる。
県水産振興課によると調査は19年、蓄養場の管理が不十分との外部からの指摘を受け、アサリ蓄養のため水産業者などに浜を貸し出している漁協を対象に実施。当時、県内にはそうした浜が10カ所前後あったという。漁協の一部は業者がどれほどの蓄養アサリを浜で出し入れしているか把握していなかったため、県は確認するよう指導。その際、一部漁協から「輸入アサリを1週間~2カ月の蓄養で出荷している業者がいるようだ。原産国での生育期間より短いのでは」との指摘があったという。
事実なら「長いところルール」に違反している可能性があるが、担当者は当時、それに気づけなかったという。同課は「産地偽装は他の部署が担当しており、浜の適正管理という視点しか持てなかった。今後、同様の事例があれば他の部署と協力して対応したい」としている。
一方、熊本県の水産統計でも年間漁獲量を上回る「熊本県産」アサリの取扱量が示されていた。19年分の統計によると、県産アサリの漁獲量は339トンだが、取扱量は大阪府内の中央卸売市場だけでも1349トンで4倍近い開きがあった。同課の担当者は「さまざまな部署からの統計を集めて作っているため、見落としていた。反省している」と話した。【吉川雄策】