暴力団組織と決別した元組員の社会復帰を後押しするため、警察庁が今月1日、元組員による預貯金口座の開設を支援するよう都道府県警に指示したことがわかった。同日付で金融庁にも金融機関への周知を要請した。組織からの離脱を加速させ、暴力団勢力を弱体化させるのが狙いだ。
金融機関は組員から口座開設を申し込まれた場合、「暴力団排除条項」に基づき、開設を拒否している。さらに、多くの金融機関は「反社会的勢力」について独自のデータベースを作成しており、データベースに登録があれば、元組員でも契約を断るケースが少なくない。「契約自由の原則」があるためだ。
だが、元組員が口座を開設できず、給与の振り込みや家賃の引き落とし、携帯電話の契約ができないなど社会復帰の足かせとなるケースが報告されていた。
そこで、警察庁が今回、口座開設の支援策を決定。暴力団をやめた人物が元組員を雇い入れる協賛企業に就職し、面談などで組織から決別したと判断できた場合には、警察が金融機関に連絡して説明したり、暴力追放運動推進センター職員が口座開設の申し込みに同行したりするという。
元組員の立ち直りの支援を行っている元警視庁暴力団対策課長の中林喜代司さん(78)は「組織が組員に『やめても口座すら作れないぞ』と言い、離脱を防ぐケースもある。口座開設の支援が離脱の促進につながるのは間違いない」と話している。