「核兵器で威嚇許せぬ」 全国の高校生グループ抗議 ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、平和や社会問題について学ぶ東京や広島、沖縄などの高校生グループが3日、抗議声明を東京都港区の在日ロシア大使館に出した。「ロシアの侵攻は、平和な世界を希求し活動している私たちにとって許せるものではない。核兵器で威嚇する行為は、核戦争を防ぎ、軍拡競争を避けようとする世界の動きに反する」と批判している。
抗議声明は「高校生平和ゼミナール」などの名称で活動する8地域のグループが連名で出した。各地のグループは戦争体験者や被爆者から話を聞いたり、社会問題を学ぶ勉強会を開いたりしている。毎年8月には広島や長崎で開かれる全国高校生平和集会に参加。核兵器禁止条約への署名と批准を日本政府に求める署名集めにも取り組んでいる。
声明は、各地での活動の成果として「核による被害は将来、後世にまで及ぶことを学んだ」とし、「核兵器の使用は絶対に回避されなければいけない」と訴えた。ロシアへの抗議とともに、平和的解決に向けた各国の努力を求めている。
声明の提出は沖縄高校生平和ゼミナールから各地のグループに呼び掛けた。メンバーで高校1年の上原一路(ひろ)さん(16)はウクライナの子供たちが爆撃におびえる映像に「幼い子たちや同世代の子供たちが『戦争が始まった』と泣いている。胸が痛い」と話す。特にロシアのプーチン大統領が核兵器使用を示唆していることには「広島、長崎であれほどの被害が出たのに、なぜ『使う』と言えるのか、理解できない。歴史を学んでいないのではないか」と憤る。
在日ロシア大使館のポストに声明を入れた東京高校生平和ゼミナールの高校3年、田原ちひろさん(18)は「戦争で最も犠牲になるのは市民だと感じる。戦争で勝つ人はいない」と侵攻の中止を求めた。【遠藤孝康】