映画制作会社、逆転敗訴=「宮本から君へ」助成金不交付―東京高裁

出演者の逮捕などを理由に文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)が、映画「宮本から君へ」に対する助成金交付を取りやめたのは違法だとして、映画を制作した「スターサンズ」が不交付決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が3日、東京高裁であった。足立哲裁判長は訴えを認めた一審東京地裁判決を取り消し、同社側の請求を棄却した。同社は上告する方針。
映画に出演していたピエール瀧さんが2019年3月、麻薬取締法違反容疑で逮捕され、その後有罪が確定。これを受け芸文振は同7月、当時は審査要件ではなかった「公益性」を理由に、内定していた助成金1000万円の不交付を決めた。
足立裁判長は「違法薬物の乱用防止という公益性の観点から、助成金を交付しない決定をしたからといって、社会通念に照らして妥当性を欠いているとは言えない」と指摘。交付すれば、薬物犯罪に寛容との誤ったメッセージを発したと映画観客に受け取られ、助成制度への国民の理解を損なう恐れがあるとの考えを示した。
判決後に記者会見したスターサンズの河村光庸社長(72)は「何の説得力もなく、極めていいかげんな判決だ」と批判した。
[時事通信社]