集団予防接種でB型肝炎に感染した患者の救済を巡る国と患者側の協議が福岡高裁で続いているが、国が示す条件では一部の患者が救済されない可能性がある。昨年4月に最高裁は再発患者も救済の対象と認める判決を出したが、国は再発を繰り返す患者は対象外とする考えだ。4日、人生の大半を肝炎と闘ってきた福岡県内の70代女性が関連訴訟の弁論で意見陳述し「全員救済」を国に訴えた。
国、再発時が起算点と主張
「こんなに長く苦しんできたのに、平等に償ってもらえないのはあまりに理不尽だと思います」。4日、福岡高裁の法廷に立った70代女性は声を絞り出した。女性は1981年に慢性肝炎の症状が出た。その後、症状の改善と再発を繰り返し、40年もの人生を治療に費やしてきた。
B型肝炎を巡っては、提訴した慢性肝炎の患者には救済法に基づき1250万円が国から支給されるが、発症から除斥期間の20年を過ぎて提訴した患者は4分の1以下に減額される。そのため再発患者も症状が初めて出た時が起算点とされ減額されていたが、最高裁は昨年4月、起算点を「再発時」とする判決を出し、再発患者の救済につながる初判断を示した。
しかし、国はその後の患者側との協議で、あくまで再発時が起算点だと主張。81年に発症した女性の再発時は92年で、提訴時(2014年)から20年以上経過しているため国は請求に応じない方針を示している。弁護側は、女性はその後も再発を繰り返した「再々発型」で、最後の発症時である02年が女性の起算点と主張している。
最高裁判決は補足意見で「迅速かつ全体的な解決を図るため、国が被害者救済の責務を果たすことを期待する」と言及しており、再々発型を退ける国の姿勢に弁護団は「補足意見の趣旨に反する」と指摘する。
弁護団によると、再々発型などが理由で救済の対象から漏れる可能性がある患者は、全国に約200人いるとみられる。全国弁護団の佐藤哲之代表は「加害者である国が何の落ち度もない被害者に、さらに長期の苦しい闘いを強いている」と憤り、除斥期間に関係なく患者全員を救済すべきだと訴えている。
厚生労働省の担当者は毎日新聞の取材に「協議中につき具体的な言及は控えるが、患者側の意見も踏まえ解決を図っていきたい」としている。【平塚雄太】