画廊で展覧会を開いている作家を食事に誘ったり、作品購入の見返りに男女関係を求める「ギャラリーストーカー」。近年、SNSで作家が告発するなど、被害が徐々に明らかになりつつある。 作家を守るため、対策を立てる画廊も一部で出てきているが、フリーランスという弱い立場を狙われ、誰にも相談できずに泣き寝入りする作家も少なくない。 数年間、複数のギャラリーストーカーにつきまとわれた作家、山口真奈美さん(仮名・20代)は「自分ではもうどうしようもない状態になるまで追い詰められました」とふり返る。 ギャラリーストーカーはどのように作家に迫るのか。山口さんの被害体験を聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香) ●「作品を買ってあげたんだから食事に付き合え」 山口さんは美大在学中からコンクールで受賞するなど、注目を集める新進気鋭の作家だ。美大卒業後、学外で展覧会を開くようになると、すぐにコレクターや男性客によるハラスメントやストーキングが始まった。 「作家として活動し始めると、学外の人たちと交流することが増えたり、自分でもSNSで活動を公開していくことで、コレクターの方たちにも認知されやすくなりました。同時に、被害も増えてきました」 そう振り返る山口さん。画廊で展覧会を開くと、「プライベートでも会いたい」と誘ってくる男性客が現れるようになった。 「作品も買ってあげたんだから、食事くらい付き合ってくれてもいいじゃない、という距離感のお客さんがたくさんいました」 大学を出たばかりで、社会人経験もなかった山口さんは断りきれず、そうした男性と食事に行くこともあったという。 「駆け出しでしたので、もしも食事を断って、もう作品を買ってもらえなくなったらどうしようという不安がありました。とても嫌だし、苦しかったけど、接待だから仕方ないと思って行くことがありました」 ●突然、下の名前を呼び捨て そうした中、山口さんは自分だけでは対処しきれない被害に遭ってしまう。 若い作家はまず、画廊でグループ展を開くことからスタートすることが多い。期間中は画廊に滞在し(在廊)、自ら接客することもある。山口さんは、そうした展覧会に参加していたとき、A氏と出会った。 A氏は40代の男性で、美術が好きなコレクターだった。山口さんとはSNSなどを通じて知り合い、画廊のグループ展にも足を運んでいた。 「Aさんのことは、今思い出しても、パニックになります」。最初は、作品を購入してくれるだけだったが、徐々に山口さんに対して異様な入れ込み方をするようになっていった。
画廊で展覧会を開いている作家を食事に誘ったり、作品購入の見返りに男女関係を求める「ギャラリーストーカー」。近年、SNSで作家が告発するなど、被害が徐々に明らかになりつつある。
作家を守るため、対策を立てる画廊も一部で出てきているが、フリーランスという弱い立場を狙われ、誰にも相談できずに泣き寝入りする作家も少なくない。
数年間、複数のギャラリーストーカーにつきまとわれた作家、山口真奈美さん(仮名・20代)は「自分ではもうどうしようもない状態になるまで追い詰められました」とふり返る。
ギャラリーストーカーはどのように作家に迫るのか。山口さんの被害体験を聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
山口さんは美大在学中からコンクールで受賞するなど、注目を集める新進気鋭の作家だ。美大卒業後、学外で展覧会を開くようになると、すぐにコレクターや男性客によるハラスメントやストーキングが始まった。
「作家として活動し始めると、学外の人たちと交流することが増えたり、自分でもSNSで活動を公開していくことで、コレクターの方たちにも認知されやすくなりました。同時に、被害も増えてきました」
そう振り返る山口さん。画廊で展覧会を開くと、「プライベートでも会いたい」と誘ってくる男性客が現れるようになった。
「作品も買ってあげたんだから、食事くらい付き合ってくれてもいいじゃない、という距離感のお客さんがたくさんいました」
大学を出たばかりで、社会人経験もなかった山口さんは断りきれず、そうした男性と食事に行くこともあったという。
「駆け出しでしたので、もしも食事を断って、もう作品を買ってもらえなくなったらどうしようという不安がありました。とても嫌だし、苦しかったけど、接待だから仕方ないと思って行くことがありました」
そうした中、山口さんは自分だけでは対処しきれない被害に遭ってしまう。
若い作家はまず、画廊でグループ展を開くことからスタートすることが多い。期間中は画廊に滞在し(在廊)、自ら接客することもある。山口さんは、そうした展覧会に参加していたとき、A氏と出会った。
A氏は40代の男性で、美術が好きなコレクターだった。山口さんとはSNSなどを通じて知り合い、画廊のグループ展にも足を運んでいた。
「Aさんのことは、今思い出しても、パニックになります」。最初は、作品を購入してくれるだけだったが、徐々に山口さんに対して異様な入れ込み方をするようになっていった。