震災から11年で公開の津波動画が再生回数1200万回以上…当時15歳「大人になって向き合えた」

戦後最大の自然災害となった2011年3月の東日本大震災は11日、発生から11年を迎えた。当時の記憶の風化が危ぶまれる中、昨年11月にYouTubeで公開された宮城県気仙沼市を襲った津波の動画が、4か月弱で1200万回以上の再生回数に達した。当時15歳の中学生だった撮影者の畠山亮さん(26)に、10年以上の時を経て動画を公開した思いを聞いた。(瀬戸 花音)
津波で流された家々が渦を巻く映像から響き続ける車のクラクション。「ご先祖様連れてこなかった…」との女性の声も聞こえてくる。衝撃的な映像に重なるのは、畠山さんの懸命な説明だ。「排水溝からも音が聞こえます。水が流れてきてます」「ガスタンクが流れてしまっています。ガス臭いです」。当時中学3年の少年が、その年のお年玉で買ったタブレット端末で撮影した映像が、10年以上の時を経て世界中の人々に広がっている。
YouTubeに投稿された動画のタイトルは「『未公開映像』3・11東日本大震災 宮城県気仙沼市【津波】」。昨年11月22日に投稿されて以降、これまで約1275万回再生された。畠山さんは、中学の卒業式前日だった当時を振り返る。
「記録として撮っておかないと、と思って」とっさに動画を撮影。同地区には、震災1年前のチリ地震でも最大1・2メートルの津波が到達しており「絶対津波が来ると思った」という。「(津波は)思い出も何もかも全部持って行った」。家族は無事だったが、知人を亡くした。撮影はしたものの、「動画を見るとなくしたものを思い出してしまう」と見返すことはなかった。タブレット端末もすぐに使わなくなっていた。
時が動き始めたのは、昨年の秋だった。仕事の取引先の相手と震災の話をした際、ふと動画の存在を漏らした。「伝えるために公開した方がいい」と背中を押された。動画を公開することは「不謹慎では」とも思ったが、家に帰ってタブレット端末の動作を確認すると電源が入った。「当時の僕も誰かに伝えるために撮影をしていた。震災から時間が流れ、自分も大人になって、当時と向き合えるようになれたんだと思います」と公開を決意した。
約23分の動画に「もし今同じ状況になったとして、撮影はすると思いますけど、こんなふうに説明はできないと思う。当時の自分はすごい」と話す。日本語だけでなく英語でも寄せられた7000件以上のコメントに「震災を風化させたくない。やっぱり公開してよかった」と思えた。
あの日から11年。小学生の多くは震災を知らず、当時中学生だった畠山さんは大人になった。「子供たちに年の近い僕らが話したら伝わることが多いかもしれない。これからは伝えていければ」と畠山さんは前を向いた。