30億円踏み倒した宝石商の未亡人 自転車操業で切羽詰まって自殺未遂

宝石商の未亡人は、踏み倒したカネでさぞぜいたくな暮らしを送っていたのかと思ったら、まったく違った。
「百貨店に卸す」とウソをつき、東京都台東区の宝石加工業者から5000万円相当のダイヤモンド23点をダマし取ったとして、同区上野の宝石卸売会社「クレアール」の元社長、中垣佳子容疑者(57)が9日、詐欺の疑いで警視庁上野署に逮捕された。
中垣容疑者は2019年5月、取引がないのに百貨店に委託販売すると偽り、加工業者からダイヤを仕入れた。
だが実際は、仕入れた商品を貴金属の買い取り業者に安値で叩き売り、その金でさらにダイヤを仕入れる自転車操業を繰り返していた。
最終的に加工業者への商品未払い金は、約30億円まで膨れ上がった。
調べに対し、「当時は経営が傾いていて、転売で得た金を会社の資金繰りや生活費に充てていた。自転車操業状態だった」と供述しているという。
中垣容疑者は17年10月、亡くなった夫に代わって、93年に夫が設立したクレアールの代表取締役に就任。同社は主に「ダイヤモンドルース」と呼ばれるダイヤの原石をカット、研磨した「裸石」を専門に取り扱い、中垣容疑者が会社を引き継いだ翌18年には約5億円の売り上げを計上していた。
■仕入れたダイヤを貴金属店でせっせと換金
「社長就任当時から業績はかんばしくなかった。商品は海外から仕入れていたが、買掛金の負担が大きく、まとまった資金を用意できないようになった。そこで19年、以前から付き合いのあった加工業者に『百貨店に卸す』とウソをついてダイヤモンドを仕入れては、そのまま転売していた。安価で買い取り業者に売りさばいていたため、売れば売るほど赤字がかさみ、代金の支払いがままならなくなった。加工業者は未回収額が増え続けるのを不審に思ったが、一部の支払いが行われていたため、そのまま取引を続けていたようです」(捜査事情通)
しかし、そんな状態が長く続くわけがなく、すぐに経営は行き詰まり、いよいよ切羽詰まった中垣容疑者は19年6月、自殺未遂を図る。自殺しようとしたいきさつを捜査員に漏らしたことから、不正が発覚した。同年9月、裁判所に破産申し立てを申請し、負債総額は約28億円だった。中垣容疑者は長年住んでいた浅草の高級マンションを引き払い、埼玉に引っ越した。
夫が残した会社を引き継いだばかりに多額の負債を背負い、揚げ句の果てが自殺未遂の末に逮捕とは……ドツボにハマる前に他に何か解決の手だてはなかったのか。