「これで一区切り」「絶対認めない」――。2019年参院選を巡る河井克行・案里夫妻の買収事件で、東京地検が現金を受領した広島の地方議員ら100人全員を不起訴としてから約8カ月。検察当局は14日、検察審査会が「起訴相当」とした35人のうち34人を起訴し、判断を一変させた。この間、議員らの「辞職ドミノ」が相次ぐ一方、徹底抗戦の構えを見せる議員も。地元政界は混乱の極みに達している。
14日午前。辞職願を提出していた八軒幹夫広島市議(63)は同市中区で記者会見に臨んだ。吹っ切れたような表情で「責任の取り方の一つとして辞職を決断した」と述べ、「政治家に対する不信を抱かせ、深く反省している」と謝罪。午後には市議会が辞職を許可し、検察も略式起訴を公表した。
辞職の動きは、検察審査会の議決が公表された1月28日の直後から始まった。3月に入り、検察が略式起訴に向けて本人の同意を求める手続きを始めると加速。14日までに広島県内の議員計16人が辞職願を提出し、元職らを含む計25人が略式起訴された。
60万円の受領を認め、20年に頭を丸刈りにして謝罪・辞職した安芸高田市の児玉浩・前市長(58)。略式起訴を受け、取材に「結果の通知が来たら後援者と今後について相談したい」と話した。
一方、正式起訴された議員らが今後、公判で検察側と全面対決する展開も予想される。
在宅起訴された石橋竜史広島市議(50)は公選法違反について「絶対認めるわけにはいきません」と断言。起訴については「検察が描いたストーリー、シナリオで想定していた」と話し、「最終的には司法(裁判所)が決めること」と淡々とした表情で話した。
三宅正明市議(49)も「議員活動を続けながら裁判に臨む。実際にどういうことがあったのか、皆さんの前で説明したい」と述べ、検察への不満をにじませた。
辞職ドミノに伴い、新年度予算案などを審議中の議会では欠員が相次ぐ異常事態となった。広島市議補選の安芸区選挙区(改選数1)が11日に告示されたほか、18日には県議補選の府中市・神石郡選挙区(同1)も告示される。今後も辞職や有罪確定に伴う失職が相次いだ場合、最大で計7補選が実施される可能性がある。
自民党関係者は「一応の決着だが、在宅起訴された議員らの裁判は今後も続く。間違いなく参院選に影響する」と話し、夏の参院選での「逆風」を案ずる声は消えない。
議員らを告発した「地方議会をただす会」の藤岡圭二会長は起訴について「よく決断した」と評価した上で、「200万円以上の買収金を受けた議員が略式手続きで終わっていいものか。議員辞職すればそれでよいというものでもない」とくぎを刺した。【賀有勇、小山美砂、中島昭浩】