16日深夜に起きた福島県沖を震源とする地震は、相馬市、南相馬市、国見町で震度6強など41市町村で震度5弱以上を記録した。
「国見町に行ってくれ」。新人記者の私に、先輩から電話で指示が飛んだ。
日付が変わる頃、福島市の自宅を飛び出した。福島県国見町では震度6強が観測されていた。心ははやるが、信号機や街灯が消えた暗闇の中、慎重に車を走らせた。高速道路が通行止めになったせいだろうか、トラックが慌ただしく追い越していく。左車線だけが渋滞しており、不思議に思って窓からのぞくと、ガソリンスタンドの前に車が並んでいた。
午前0時40分、国見町に入った。地震の痕跡を記録するため、しばらく、町内を巡る。コンビニエンスストアでは、明かりが全て消え、窓ガラスが割れていた。午前7時、町の避難所「観月台文化センター」を訪れた。センターには最大68人が身を寄せていたが、夜が明け、一時的に帰宅する人の姿があった。職員から「気をつけて」と声をかけられると、表情が少しだけ和らいだように見えた。
午前11時半、夕刊用の取材が一段落し、町内のガソリンスタンドに向かった。だが、レギュラーガソリンだけが販売を休止していた。タンクのメーターが地震の揺れでずれたため、安全確認が必要になったのだという。そういえば、地震発生直後、ガソリンスタンドの前に車の列が出来ていた。非常時こそ備えが大切だと思い知らされた。
午後5時、観月台文化センターでは、一時帰宅した避難者を再び受け入れるための準備が進んでいた。町ほけん課の佐藤温史さん(48)は「夜が不安で戻ってくる町民がいる」と表情を引き締めた。被災者の不安な生活は続く。(綿井稜太)