3月17日、愛子さまは御所で成年会見に臨まれました。約30分に及んだ初の単独会見には、どのようなお気持ちが込められていたのでしょうか。2001年の愛子さまご誕生時から数多くの皇室番組に携わり、『 天皇家250年の血脈 』(KADOKAWA)などの著書があるつげのり子氏に話を聞きました。
◇
ツヤ肌メイクは若々しさを意識?
――愛子さまは昨年12月1日に20歳を迎えられました。慣例では皇族の成年会見は誕生日当日に公開されますが、今回は約3カ月遅れての実施となりました。
つげ 愛子さまのご学業の都合ということでしたね。会見前日の3月16日夜には東北地方で震度6強の地震があり延期かとも思いましたが、冒頭で「昨夜の地震により亡くなられた方がいらっしゃると伺いまして心が痛んでおります」とお見舞いの言葉があり、お心遣いを感じました。
――服装は薄いグリーンのセットアップでした。
つげ あれは「若草色」ではないでしょうか。平安時代の書物にも見られる古来の色で、若草は『伊勢物語』では若い女性を表す言葉として登場します。愛子さまは大学で日本文学を勉強していらっしゃいますから、そういった書物をお読みになったことがあって、意味もご存知で選ばれたのではないかと想像します。春を待ち焦がれる新芽の色でもあり、これから公務に携わって成長していこうというお気持ちも込められていたのかもしれません。
――関連質問でも「平安時代の文学作品、物語作品をはじめ、古典文学には引き続き関心を持っております」と述べられていました。
つげ メイクもツヤ肌に仕上げられていましたし、若々しさを意識されているように感じました。今のトレンドもあるとは思いますか、他の女性皇族の会見ではこれまであまり見られなかった雰囲気なので、印象に残りました。髪も以前はそのまま下ろされていたり、ハーフアップが多かったと思いますが、今回は後ろでひとつにまとめられていましたね。皇后・雅子さまも宮中祭祀に備えてか、髪を伸ばされてアップにすることが増えていますので、会見中のお姿には雅子さまの面影を感じました。
――全体を通して、愛子さまの会見をどうご覧になりましたか。
つげ ほとんどメモをご覧にならず、ひとつひとつ丁寧にご自分の言葉で話されているのが印象的でしたね。天皇皇后両陛下とのご家族のエピソードも多く盛り込まれていて、会見時間は約30分にわたりました。2011年に成人を迎えられた小室眞子さんや2014年の佳子さまの成年会見は10分から15分程度でしたから、これは異例の長さだと言えます。
――なぜ長くなったのでしょうか。
つげ まずはご自身の責務をまっとうしようというご意欲がとても強いのだと思います。言葉の選び方ひとつを取っても、たとえば成年を迎えられたお気持ちを問われた際には「今までのあっという間なようで長くも感じられる充実した月日を振り返りますと、これまでのあらゆる経験は多くの方の支えやご協力があってこそ成し得たものだと身をもって感じております」と答えていらっしゃいましたよね。普通は「これまでの日々を振り返ると、周りの方々のおかげだと思います」というくらいで終わってしまうところだと思いますが、どんな人にもきちんと言葉を伝えたいというお気持ちを強く感じました。
また、関連質問ではウクライナ情勢について問われていましたが、とても難しい質問だったと思います。「政治的な事柄を含むのでお答えは差し控えます」とすることもできた場面でしたが、ここも真摯に向き合っていらっしゃって感動しました。
――ウクライナ情勢についてのご回答では、天皇陛下の「国と国との間ではさまざまな緊張が今も存在しますが、人と人との交流が国や地域の境界を超えて、お互いを認め合う平和な世界につながってほしいと願っている」という言葉を引用されていました。
つげ「ちょっとメモを見させていただきます」と断ってから陛下の言葉を述べられたのは、間違えては失礼にあたるということでしょう。愛子さまの真面目さがよく表れたシーンでした。他にも「皇室は国民の幸福を常に願い、国民と苦楽をともにしながら務めを果たす」という上皇陛下のお言葉を引用されるなど、皇族の一員として、ご自身が陛下と同じ考えであることを示そうというご意図もあったように思います。
眞子さんの結婚については「天皇陛下や秋篠宮皇嗣殿下のご判断によるものと」
――一方で、眞子さんの結婚については「私から発言することは控えさせていただきたいと思います」、天皇皇后両陛下からかけられた言葉についても「具体的にどのような言葉というのは、ここでは差し控えさせていただきたい」とお答えになる場面もありました。
つげ 眞子さんの結婚については「天皇陛下や秋篠宮皇嗣殿下のご判断によるものとうかがっております」と述べられていました。ご自身の立場をわきまえ、よく考えて話されているなという印象です。ご両親からかけられた言葉については、愛子さまも含め皇室の方々は公と私を分けてお考えになっているからなのか、具体的におっしゃらないのが常ですね。反対に、小室圭さんは眞子さんとの婚約が最初に報じられた際、眞子さんとこんな話をした、こんな言葉を交わしたというようなことを記者に言ってしまって批判を受けたことがありました。
天皇皇后両陛下とは「会話の多いご家族」
――前例にも基づいて、しっかり考えてお話しされていたということですね。
つげ 何度も何度も推敲してお考えになったのでしょう。両陛下の公務での立ち居振る舞いをずっとご覧になってきて、ご自身が国民からどう見られているのかをずっと意識されてきたのだと思います。言葉を尽くそうとされる姿勢も含めて、ご両親の影響はとても大きいと感じました。
――先ほどつげさんも触れていたように、ご家族3人でのエピソードも多く語られました。
つげ ご家族の仲睦まじい、愛情深い関係が感じられましたよね。ご一家を知る周りの方々に話を聞くと、とても会話の多いご家族だとみなさんおっしゃるんです。会見でも、年末年始に参加された宮中祭祀について「これまで両親から話を聞くだけであった行事に自分が参加しているということには不思議な心持ちがいたしました」と述べられていたり、会見にあたって天皇陛下から緊張を和らげるコツを教わったお話もあったりと、随所にそれが出ていたと思います。
さらに、関心事についてのご回答で「私自身、災害ボランティアにも関心を持っております」とおっしゃっていましたが、今年の天皇誕生日の会見では天皇陛下も災害ボランティアに言及されていました。ですから、ご家族でもそういったお話をされていたのではないかと思いますし、日頃からご両親とコミュニケーションをたくさん取っておられるんだなと感じましたね。
――天皇皇后両陛下への言葉を聞かれた際の「生んでくれてありがとう」という言葉も印象的でした。
つげ 愛子さまがご誕生されたときの記者会見で、雅子さまが「本当に生まれてきてありがとう、という気持ちでいっぱいになりました」とおっしゃったことにかけてのご回答でした。
私はちょうど愛子さまがご誕生の日から皇室番組を担当していて、この記者会見は何度も何度も見返していたものですから、愛子さまがこうして堂々とお答えになっているのを見て、ご立派になられたなと涙が出る思いでした。
愛子さまが1歳のとき、雅子さまはご自身の誕生日の記者会見で愛子さまについて「ゆったりと、どっしりとしております」と述べられていました。幼い頃の天真爛漫に手を振ったりといったおおらかさはそのままに、ご両親からしっかりと立ち居振る舞いや皇族としての意識を学ばれていることが強く感じられる成年会見だったと思います。
▼
つげさんが構成を担当するテレビ東京・BSテレ東「皇室の窓スペシャル~愛子さま 開かれる世界の窓~」は、3月21日(月・祝)朝8時53分より放送されます。
(つげ のり子/Webオリジナル(特集班))