ロシアの侵攻が続くウクライナの国民を継続的に支援しようと、失業したウクライナ人に遠隔地でもできる仕事を提供する取り組みが始まった。横浜市内の会社も参加しており、寄付や義援金だけではない多様な形での支援が広がっている。【宮島麻実】
「オンラインで活動できるこのプロジェクトは意義があるし、ありがたい」
15日にウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」で実施した打ち合わせで、ウクライナにいるスラバ・イェジョブさん(33)は、この取り組みへの感謝を口にした。これに対し、横浜市中区の美容関連会社「NMT Japan」社長の土屋恵美さん(42)は「何か役立てればと思っていたので良かった」と応じた。
SDGs(持続可能な開発目標)を推進するコンサルティング会社「ネクストエージ」(大阪市)が実施する「PC1台からの勇者プロジェクトforU」の一環。「寄付は希望をつなぐが、希望を繰り返し自立生産するためには『仕事という生きる糧』の提供という支援の選択肢もある」という考えのもと、同社はウクライナがIT産業の成長した国であることに注目し、遠隔地でもできる仕事の提供を始めることにした。3月から避難民のクリエーターやエンジニアへの仕事の発注を日本の企業から募っていた。
これに「現地にとってプラスになるサポートがしたい」と賛同したのが、医療アートメーク事業を手掛けるNMTだ。展開する事業の内容や国内外のアートメークに関する情報を英語と日本語の両方で発信するウェブサイトの製作を依頼した。15日の打ち合わせで、土屋さんはスラバさんに現地の状況を聞き取った後、仕事に関する要望を伝えた。最後はウクライナ語で「一緒に」という意味の「ラゾン」というかけ声で締めくくった。
スラバさんは、軍事侵攻が始まってすぐ、母親や知人女性らとともに首都キエフからポーランド国境近くの都市リビウに避難した。以前はテレコミュニケーション会社でセールスマネジャーとして働いていたが、侵攻を受けて働けない状況が続いたため応募したという。スラバさんは「侵攻はいつまで続くかわからず、ウクライナ国内では未来を考え始めるタイミングに入っている。ウクライナが一刻も早く元に戻れるように頑張りたい」と話した。
打ち合わせに立ち会ったネクストエージ副社長で滋賀県内の高校を卒業したばかりの中井咲希さん(18)は「活動が助けになっていると言ってもらいうれしい。実際に現地の方の生の声を聞き、より一層寄り添っていきたいと思った」と話した。
土屋さんは「海外の方のアイデアをいれながら、よりよいサイトになれば」と依頼した仕事の成功を祈りつつ、ウクライナの現状について「現地でしかわからない苦労や、仕事が必要だという事情を知った。今回つくるサイトを活用していくことで、彼らの思いや次のビジネスにつながっていけばいい」と話した。