自民苦慮「相互推薦の方が楽だったのに」、公明は「強気」…参院選

夏の参院選を巡って、自民党が、公明党からの推薦取り付けに時間を費やしている。自民は25日、公明の立候補予定者5人に推薦証を交付したが、公明による自民への推薦は調整が続く。両党の地方組織の間では協議が難航し、自民が対応に苦慮するケースも出ている。
「個別判断」 地方 協議難航も

岸田首相(自民党総裁)は25日、訪問先のベルギーから帰国すると、その足で自民党本部に向かった。公明の山口代表ら両党幹部が見守る中、首相は公明が埼玉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の5選挙区に擁立する現職5人に推薦証と「必勝」と書かれた色紙を手渡した。山口氏によると、首相は5人に対し、「両党の協力がまた一歩前進した。しっかり推薦して応援する」と激励したという。
両党は11日、東京、大阪を除く全国43選挙区を対象に選挙協力を行うことで合意した。改選定数3~4の「複数区」である埼玉など5選挙区では、自民が公明候補を推薦するとした。全国に32ある改選定数1の「1人区」を中心とした38選挙区では、地方組織間で協議を行い、公明が自民候補への推薦の是非を個別に判断することになった。
この合意に従って、自民は17日に5選挙区での推薦を早々と決めた。18日には、地方組織に対し、公明との連携を強化し、「万全の態勢を構築」するよう求める通達も出した。
両党は過去2回の参院選では、党本部が主導し、全国一律で推薦し合う「相互推薦」を実施した。しかし、今回は選挙区ごとに地方組織に協議を委ねたことで、調整が複雑化している。公明が比例票上積みに向けて、「強気な態度」(自民幹部)に出ていることが理由だとの見方が出ている。
公明は今回の参院選比例選で800万票の獲得を掲げる。2019年参院選を約150万票上回る目標だ。自民関係者によると、「後援会の名簿を提出してほしい」と求められる自民衆院議員が相次いでいるという。公明側には、昨年の衆院選で苦戦した自民議員が、次期衆院選での公明からの支援を期待し、「協力してくれるはずだ」との計算もあるようだ。
山口氏は25日、自民候補への推薦について「各地域で色々と事情がある。整うところは速やかに推薦し、順次加速していきたい」と記者団に語った。自民の世耕弘成参院幹事長は25日の記者会見で、「党と党が合意している。公明党でもしっかり誠実に対応していただけると思っている」と期待した。4月中には推薦が出始める見通しだが、自民内では「相互推薦の方が楽だった」との本音も漏れている。