裏金要求の有無は結論づけず 自民・新潟県連第三者委が報告書

昨年10月の衆院選を巡り、自民党の泉田裕彦衆院議員(59)が星野伊佐夫県議(82)から裏金を要求されたと公表した問題で、自民党県連は27日、第三者委員会による調査報告書が「政治不信を招いた」と結論づけたことを明らかにした。星野氏の言動が裏金要求に該当するどうかについては、双方の主張が食い違っていることなどから結論を示さなかった。【池田真由香】
星野氏言動には結論示さず
この問題を巡っては、泉田氏が星野氏から裏金を要求された際のやりとりとする音声データを公開。星野氏は一貫して疑惑を否定している。自民県連は昨年12月、弁護士による第三者委を設置し、泉田氏、星野氏双方から意見聴取するなど調査を進めていた。
第三者委の菊池弘之弁護士によると、調査の結果、泉田氏が星野氏から収支報告書に載らない金銭を要求され、それが裏金に当たると主張しているのに対し、星野氏は裏金という言葉の存在自体を否定。両者の溝は埋まらなかったという。
このため、報告書は裏金要求の有無については結論付けず、「有権者や県民との間に一定の溝が生じた」と指摘。菊池弁護士は「裏金というより(音声データには)『寄付禁止期間を気にせずに』というくだりがあり、一般の人が聞いたら駄目だと思われることを(星野氏が)容認したと捉えている」との認識を示した。
第三者委は「テープは4、5本を切ったり貼ったりしている」とする星野氏の主張についても調査。業者に音声データの分析を依頼したところ、編集された可能性がないことが分かった。また、聞き取りにくい部分については泉田氏に直接確認をしたという。
報告書を受け、県連はこの日、新潟市内で常任総務会などを開いた。星野氏はすでに離党したことから、泉田氏の処分について協議。党員除名にすべきだとの意見が出る一方、慎重な判断を求める声も上がったという。県連として泉田氏の役職を当面保留とすることを決定。党本部が昨年、新潟5区選挙区支部長を保留した判断に合わせたとしている。
県連会長の高鳥修一衆院議員は会合後の記者会見で「非常に残念な事案。県民や有権者に政治不信を招く発言があったことは否定できない。真摯(しんし)に受け止め、教訓として改革を進めていきたい」と述べた。
この問題で泉田氏は、公職選挙法違反の疑いがあるとして星野氏を県警に刑事告発している。一方、星野氏は疑惑を否定した上で「党に迷惑をかけた」として離党した。