九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請の即時抗告審で、福岡高裁(山之内紀行裁判長)は25日、原発の新規制基準や、九電の重大事故対策、防災対策などは合理的だとして、住民側の抗告を棄却した。
阿蘇カルデラ(阿蘇山)など周辺火山の巨大噴火に対する新規制基準に基づくリスク評価や、テロ対策の合理性が争点となった。
決定は、運転期間中の巨大噴火の発生について「全くないとは言い切れないが、可能性が抽象的であれば防災対策などで想定しないことを容認する社会通念がある」と判断。現時点で具体的な噴火リスクは確認されていないとして、玄海原発の立地に問題はないとする原子力規制委員会の判断を追認した。
また、新規制基準で設置が義務付けられ、玄海原発では2022年8~9月に建設期限を迎えるテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」を巡り、住民側は設置が間に合わないと主張したうえで「テロは電力会社の工事完成など待たない」と指摘。原子力規制委は、期限内に設置できない場合、運転を停止させる方針を決めているが、決定は現時点では問題ないと判断した。
佐賀地裁は昨年3月、差し止めを求める仮処分申請を却下。市民団体「原発なくそう!九州玄海訴訟」のメンバー71人が不服として即時抗告していた。
決定後、高裁前で住民側の弁護士2人が「フクシマから学ばず」「司法の責任放棄」と書かれた紙を掲げると、集まったメンバーから怒りや失望の声が漏れた。続く集会で弁護団の田上普一弁護士は「裁判所は我々の主張に正面から答えておらず、司法としての役割を果たしていない」と憤りをあらわにした。
九電も記者会見を開き「今後も安全性と信頼性向上への取り組みを継続的に進める」などとするコメントを発表した。【宗岡敬介、佐野格、高橋慶浩】
福岡高裁前で弁護士2人「フクシマから学ばず」
「生命、身体に重大な被害を受ける具体的な危険が存在するとは認められない」。25日の福岡高裁決定は、昨年3月の佐賀地裁に続き、運転差し止めを求める住民の声に耳を傾けなかった。
高裁前で弁護士2人が「フクシマから学ばず」「司法の責任放棄」と書かれた紙を掲げると、集まった約60人から「おかしいよ」などと怒りや失望の声が漏れた。福岡県弁護士会館であった集会で、弁護団の田上普一弁護士は「裁判所は我々の主張に正面から答えておらず、司法としての役割を果たしていない」と憤りをあらわにした。
一方、九州電力も記者会見を開き「今後も安全性と信頼性向上への取り組みを継続的に進める」などとするコメントを発表。担当者は玄海原発のテロ対策について「裁判所から適切にご判断いただいた」と述べ、決定を評価した。【佐野格、高橋慶浩】