貸金業の登録を受けずに日本政策金融公庫の新型コロナウイルス対策特別融資の仲介を繰り返したとして、貸金業法違反(無登録営業)に問われた元副財務相で元公明党衆院議員の遠山清彦被告(52)に対し、東京地裁は29日、懲役2年、執行猶予3年、罰金100万円(求刑・懲役2年、罰金100万円)の判決を言い渡した。弁護側はコロナ禍に苦しむ事業者を支援する政治活動の側面があったと主張したが、丹羽敏彦裁判長は「極めて大規模な仲介で、陳情対応の域を明らかに超えている」と批判した。
判決は起訴内容通り、遠山元議員が2020年3月~21年6月、融資を希望する企業や個人に公庫の融資担当者を計111回紹介し、一部は支援者だった環境関連会社役員の牧厚被告(74)=同法違反で公判中=と共謀したと認めた。
その上で、元議員が寄せられた仲介依頼に幅広く応じ、元秘書らに指示して公庫に掛け合ったと認定。緊急事態宣言下に東京・銀座の会員制クラブを訪れたことが発覚し、21年2月に議員辞職をした後も、自身のコンサルタント業として手数料を得る目的で仲介を続けたとした。
また、仲介した融資の成約額が計約37億円に上るとし、「仲介行為を登録制として業務の適正化を図った貸金業法の趣旨にもとる」と批判。国会議員の影響力を背景に一部で謝礼の趣旨を含む金銭を受領したとした上で、「高い倫理観が求められる当時の立場に照らすと、相応の非難を免れず、刑事責任は軽くない」と述べた。
一方で、遠山元議員が起訴内容を認めて反省と謝罪の態度を示し、受領した謝礼を返還していることなどを踏まえ、執行猶予を付けることが相当と判断した。
遠山元議員は判決後、「これまで支援をしてくれた方々に心よりおわび申し上げる。判決結果を真摯(しんし)に受け止め、今後二度と法に触れることのないよう、しっかりと人生を歩んでいく所存です」とのコメントを書面で発表した。【遠藤浩二】