山口県の小松一彦前副知事(65)が、自民党県連の政治資金パーティーの会費支払いに協力するよう部下に呼びかけていた問題で、村岡嗣政知事は28日、報道陣の取材に対し、小松氏以前の副知事も「同様の行為を行っていたと把握している」と説明し、県庁内で常態化していたとの認識を示した。そのうえで、「この問題の調査は行う考えはない」と明言した。
パーティーは昨年10月31日に山口市内で開かれた。関係者によると案内は県幹部の自宅に郵送され、小松前副知事は部下にあたる幹部に1万円の会費について「支払いに協力してほしい」と依頼したという。
山口県では、昨年10月に衆院山口3区で当選した林外相の後援会入会を巡って小松氏が働きかけを行ったとする公職選挙法違反事件が発覚し、県の調査チームが県幹部らにアンケートや聞き取りで調査を実施。県によると、この調査の中で「パーティーの会費の支払いについて、副知事から協力の依頼を受けた」旨の回答が2件あり、村岡知事も把握していたという。
一方、22日に調査報告書が公表された際にパーティー券に関する記述や説明はなく、24日に県が関係者の処分を発表した際も、村岡知事はパーティー券の問題に触れなかった。
知事は「(今回の調査は)公選法違反を巡るものとして行ったので、(パーティー券については)外れたのかと思う」と釈明。この問題の調査についても「重要なのは今後、同様のことが二度と起きないようにすること。(県の)取り組みで防ぎたいと思う。重ねて追加の調査をする予定はない」と述べた。
政治資金規正法では、一般職の公務員が地位を利用して政治資金パーティーの対価の支払いに関与することを制限している。特別職である副知事も、一般職の公務員に同様の行為を行うよう求めるなどした場合、同法に違反する恐れがある。