神奈川県大井町の東名高速道路で2017年、「あおり運転」により乗用車を停車させ、トラックの追突事故で一家4人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた無職石橋和歩被告(30)の差し戻し裁判員裁判の論告求刑公判が30日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれ、検察側は懲役18年を求刑した。弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。判決は6月6日。
論告で検察側は、被告車両の位置情報や長女(20)らの証言から、被告が高速上で減速などを不自然に繰り返して4回の妨害運転をしており、危険運転罪の成立は明らかと主張。「執拗(しつよう)、悪質な行為で、再犯も懸念される」と指摘した。弁護側は、証言が一部変遷し信用性が低いとし、4回の妨害運転をしたとは言い切れないと反論。一家の死傷は、追突した後続の大型トラックによる無謀運転が原因だと主張した。
被告は最終意見陳述で「事故になるような危険な運転はしていないです」と述べた。
論告求刑に先立つ意見陳述で、亡くなった萩山友香さん=当時(39)=の父親(76)は「(被告は)家族の幸せを奪った。一日でも早く、一日でも長く刑に服してほしい」と訴えた。
起訴状によると、石橋被告は17年6月5日夜、パーキングエリアで萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車方法を非難されたことに憤慨し、一家の車の進路をふさぐなどの運転を繰り返し、追い越し車線上に停車させて追突事故を誘発。萩山さん夫妻を死亡させ、娘2人にけがをさせたとされる。
一審横浜地裁は18年、危険運転罪の成立を認め懲役18年を言い渡した。東京高裁も19年、同罪の成立を認定する一方、訴訟手続きの法令違反を理由に一審判決を破棄し、審理を差し戻していた。
[時事通信社]