沖縄が本土復帰以降の振興策、32年まで延長…改正特措法が成立

沖縄の振興方針を定めた改正沖縄振興特別措置法が31日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。沖縄が本土復帰した1972年に始まった特措法による振興策は、2032年まで10年間延長される。公共事業と観光に偏る経済からの脱却が課題となる。
松野官房長官は31日の記者会見で「沖縄振興は新たなスタートを切る。強い沖縄経済の実現に向け、振興策を総合的、積極的に推進していく」と語った。
改正では、事業者が税制優遇措置を受けられる一部の地域・特区制度の要件に「従業員の給与増」を加えた。低水準の県民所得の底上げにつなげるのが狙いだ。内閣府によると、2018年の沖縄の1人当たり県民所得は239万円(全国平均331万円)で全国最下位。子どもの貧困対策では、国などに取り組みを促す努力義務を新設した。
国は沖縄の本土復帰に際し、現行法の前身となる沖縄振興開発特別措置法を施行。太平洋戦争末期の沖縄戦や、その後の米国統治で生じた「本土との格差解消」が当初の主目的だった。10年ごとに時限立法として延長して振興計画を定め、13兆円超を投じてきた。今回は社会情勢の変化に対応するため、5年以内の見直し規定を付則に盛り込んだ。
道路や港湾などのインフラ(社会基盤)整備は進み、2020年には那覇空港に第2滑走路が増設された。だが、格差が全面的に解消したとは言い難い。大学や短大への進学率は21年調査で全国最下位の40・8%(同57・4%)と、高度人材の育成も急務だ。
政府は復帰50年に合わせ、観光に加え、農水、情報技術、科学技術などに重点を置いた沖縄の経済戦略を策定する方針だ。自民党の閣僚経験者は「延長を繰り返したが県民所得は低いままだ。次の10年は効果をきちんと検証し、自立経済につながる結果を出す必要がある」と指摘する。